■発生した地震動の性質と予想される被害
防災科学技術研究所K-NETで即時公開された波形のうち,震度5弱以上のものについて地動最大加速度(PGA),と地動最大速度(PGV)を以下に示す.
観測点名 PGA PGVISK003〜ISK006の4点で500cm/s2を越える大きな地動最大加速度を記録している.また,ISK005では100cm/s以上のISK006では50cm/s以上の大きな地動最大速度を記録している.
防災科学技術研究所K-NETで即時公開された波形のうち,地動最大加速度が200cm/s2以上のものについて,計測震度,提案する算定法による震度を以下に示す.提案する算定法による震度は,0.1-1秒(計測震度=人体感覚,室内物品の動きに対応),0.5-1秒(建物の中小被害に対応),1-2秒(建物の大きな被害に対応)という3つの周期帯ごとの地震動強さを震度という共通の指標で見ることができるものである.
観測点名 計測 0.1-1秒 0.5-1秒 1-2秒 提案ISK005(石川県穴水町)では,計測震度6強,提案震度でも6強であり,被害が懸念される.
ISK005, ISK006の加速度波形,加速度応答スペクトル(水平2方向ベクトル合成)を示す.
↑加速度応答スペクトル(水平2方向ベクトル合成)ISK005は1秒程度のやや短周期が卓越しており,加速度応答スペクトルを見ても大きな被害を引き起こす1-2秒の領域のパワーは,1995年兵庫県南部地震のJR鷹取ほどではないが,2004年新潟県中越地震のJMA小千谷以上であり,大きな破壊力をもっていることがわかる.
K-NETで即時公開された波形による計測震度と1-2秒震度による震度分布を示す.震度の被害関数によると震度6弱が家屋全壊被害率にして1〜8%,震度6強が8〜30%に対応している.
↑計測震度分布図 ↑1-2秒震度分布図計測震度より範囲は狭いものの,被害と対応した1-2秒震度でも震度6強,6弱のエリアがあり被害が懸念される.1kmメッシュの人口,建物データに基づいた予測被害分布および被害数を以下に示す.
↑計測震度による予測被害(全壊家屋 421棟 死者 5人) ↑1-2秒震度による予測被害(全壊家屋 269棟 死者6人)公開されたK-NET, KiK-netに震度計情報を加え,表層地盤の増幅特性を考慮に入れた被害予測図を以下に示す.
↑計測震度分布図 ↑1-2秒震度分布図 ↑計測震度による予測被害 ↑1-2秒震度による予測被害強震記録は,防災科学技術研究所,気象庁,鉄道総合技術研究所より提供いただきました.また,観測点位置図はK-NETのページより転載させていただきました.