2007年新潟県中越沖地震における各震度計の強震記録が公開されたので,他の強震記録と同様の解析を行った.加速度波形(水平2方向ベクトル和最大方向)を図1に示す.
今回公開された震度計の強震記録の弾性加速度応答スペクトル(水平2方向ベクトル合成,減衰定数5%)を参考のためにK-NET柏崎と併せて図2に示す.また,1995年兵庫県南部地震などの過去の強震記録と比較したものを図3に示す.
まず,K-NET柏崎と柏崎市中央町は,50mほどしか離れておらず,応答スペクトルもほとんど一致している.次に,K-NET柏崎と柏崎市中央町以外に震度6強を記録した,刈羽村割町新田,柏崎市西山町池浦,長岡市小国町法坂,飯綱町芋川のスペクトルを見ると刈羽村割町新田では,柏崎の2点同様2秒以上のやや長周期が卓越していることがわかり,その卓越周期は2.5秒程度と柏崎の2点より長いが,大きな被害と相関をもつ1-2秒の周期帯のスペクトル値は柏崎の2点よりやや小さい.対照的に柏崎市西山町池浦,長岡市小国町法坂,飯綱町芋川の3点は,1秒以下の短周期が卓越していて被害の割に計測震度が大きくなる性質の地震動だったことがわかる.
提案する震度算定法による0.1-1秒,0.5-1秒,1-2秒の3つの周期帯に対応した震度および計測震度を表1に示す.計測震度で6強となった柏崎市中央町,刈羽村割町新田,柏崎市西山町池浦,長岡市小国町法坂,飯綱町芋川の5点を見るとやや長周期が卓越した柏崎市中央町,刈羽村割町新田は,1-2秒震度でも6強となっているが,柏崎市西山町池浦,飯綱町芋川の1-2秒震度は6弱,長岡市小国町法坂は5強となっていて,1-2秒震度が実際の被害とほぼ対応していることがわかる.これら以外の計測震度が6弱だった観測点の1-2秒震度の多くは5強以下であるが,上越市柿崎区柿崎と上越市吉川区原之町で6弱となっており,特に,上越市柿崎区柿崎の1-2秒震度は計測震度とほぼ同じ値になっている.
謝辞
強震記録は,気象庁,JR総合技術研究所より提供していただきました