4/14'16
熊本地震の本震(2016/04/16)で震度7を記録した益城町,西原村の自治体震度計による強震記録の性質

 木造全壊率50%という大変な被害になった益城町震度計では,1995年兵庫県南部地震で最大だったJR鷹取を大きく上回る1-2秒応答となっていることがわかります.また,今回の地震の他の記録が短周期が卓越しているのに対して,益城町震度計は,1-2秒が卓越したパルスになっています.

 これに対して,全壊・大破率が0だった,同じく震度7の西原村震度計は,1秒以下の短周期が卓越していて,1-2秒応答の大きさに大きな開きがあることがわかります.ただ,その1-2秒レベルは,決して小さいものではありません.また,長周期成分がかなり出ていて,PGV(地動最大速度)が253cm/sにも達しており,もしここに超高層建物や免震建物があれば,大きな被害になった可能性があります.

波形が公開された自治体震度計の地動最大加速度,地動最大速度および計測震度を以下に示す.

観測点名 PGA PGV 計測震度
93048(西原村小森震度計) 866.4 254.2 6.61
93051(益城町宮園震度計) 897.4 183.5 6.77
※PGA: 地動最大加速度(cm/s2),PGV: 地動最大速度(cm/s),いずれも水平2方向ベクトル和

観測点図作成中 凡例作成中
          観測点位置図            



以下に,加速度波形(水平2方向ベクトル和最大方向)を示す.

93048(西原村小森震度計)
加速度波形作成中

93051(益城町宮園震度計)
加速度波形作成中

また,弾性加速度応答スペクトル(減衰定数5%,水平2方向ベクトル和)を示す.

弾性加速度応答スペクトル作成中
(1)西原村小森震度計 ,(2)益城町宮園震度計

また,過去の強震記録と比較して示す
弾性加速度応答スペクトル作成中
(1)兵庫県南部地震JR鷹取,(2)新潟県中越JMA小千谷,(3)三陸南JMA大船渡,
(4)東北地方太平洋沖地震K-NET築館(栗原震度計),(5)西原村小森震度計,(6)益城町宮園震度計

提案する算定法による震度を以下に示す.提案する算定法による震度は,0.1-1秒(計測震度=人体感覚,室内物品の動きに対応),0.5-1秒(建物の中小被害に対応),1-2秒(建物の大きな被害に対応)という3つの周期帯ごとの地震動強さを震度という共通の指標で見ることができるものである.

観測点名 計測震度 0.1-1秒震度 0.5-1秒震度 1-2秒震度 提案震度
93048(西原村小森震度計) 6.61 6.58 6.39 6.34 6.34
93051(益城町宮園震度計) 6.77 6.23 6.01 6.87 6.87

謝辞
強震記録は,防災科学技術研究所,気象庁,熊本県,鉄道総合技術研究所より提供いただきました

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