■発生した地震動の性質と予想される被害(地震発生直後即日公開分)
■震度計による強震記録の性質(10/11'07公開)
■被害調査速報
主として,震度6弱以上を記録した強震観測点周辺の被害状況の調査を行った.調査は,地震動の性質と建物被害の対応関係について検討することを目的として,観測点から半径200mの円内の建物(駐車場,作業所,倉庫などは対象外)の被害レベル,構造種別,階数の全数調査を行った.
調査した強震観測点の位置■各観測点周辺の様子
・K-NET柏崎(震度6強)■まとめ(仮)
・震度6強を記録したK-NET柏崎周辺では大きな被害が見られ,木造家屋全壊率は5%程度に達した.K-NET柏崎の強震記録は1〜2秒に大きなパワーをもっており,これが大きな被害に結びついたと考えられる.
・これ以外では,同じく震度6強を記録した柏崎市西山町震度計,刈羽村割町新田震度計周辺で被害が見られた.
・一方で,同じ震度6強を記録した長岡市小国町法坂震度計,飯綱町三水震度計周辺では大きな被害は見られなかった.
・これら以外の震度6弱を記録した観測点周辺では,軽微な被害が見られる点はあったものの大きな被害は見られなかった.
・K-NET柏崎周辺の木造建物全壊率5%という数字は20棟に1棟が全壊であり,大きな被害と言えるが,例えば,同じ震度6強を記録した2007年能登半島地震のK-NET穴水,輪島市門前町震度計では木造建物全壊率は20%近くに達している.今回の地震のK-NET柏崎,能登半島地震のK-NET穴水の強震記録を見るといずれも木造建物に大きな被害を与える1〜2秒の周期の成分が多く含まれており,それが大きな被害に繋がったと考えられるが,1〜2秒の範囲の中を細かく見るとK-NET穴水は1秒程度,K-NET柏崎は2秒程度が卓越しており,微妙に周期特性が異なっている.ここで述べたように建物に大きな被害を与える1〜2秒という周期帯の中でのより1秒に近い領域への重み付けなどの検討が必要かもしれない.