A6. その通りです.そのような構造物には使えません.提案する震度が対象としているのは,あくまで「被害率」であり,であるならば,頻度の高いものが対象となってくるのは,全体の被害を「1つの指標」で表現するためには致し方ないことです.実際,旧震度は最も頻度の高い「家屋」を対象としていました.つまり,一番効率のいい周期帯を実際の強震記録と周辺被害データから決めることが重要であると考えています.そうすれば「例外」は当然出てきます.

 しかし,高層,超高層建物,免震建物などは個別に耐震設計されているものなので,被害予測も個別に検討してもらえればいいのではないかと思っています.ただし,等価周期の概念は,多くの構造物に適用できるもので,1〜2秒という周期帯を変えれば使えるものもあると思います.

 問題となるのは,高層建物と中低層建物の「はざま」に位置する中高層建物(鉄筋コンクリート造建物だと10〜20階,弾性周期0.5〜1秒)ですが,解析的にではありますが,2〜4秒応答という指標を提案しています(2001年第29回地盤震動シンポジウム).しかし2〜4秒応答と1〜2秒応答は,この周期帯で地震動の周期特性が劇的に変化することは少ないので,ほぼ対応したものになっていました.

 話が少しそれましたが,周期の限定性に関しては,例えば,地動最大加速度は,剛体の加速度応答ですし,地動最大速度も長周期(10秒程度)高減衰構造物の速度応答と等しく,そういう意味では,どちらも非常に特定の周期に限定しているものと言えます.逆に,スペクトル強度は0.1秒〜2.5秒という広範囲を対象にしていますが,範囲が広すぎて却ってフォーカスがぼけてしまい,被害との対応に欠けることになっています.

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