A7. その通りです.提案している震度が基づいている1〜2秒応答というのは,建物の大半が所属する0.2〜0.5秒という周期帯の,塑性化による周期の伸びを考慮したいわゆる等価周期に相当します.建築構造の世界では,等価周期の概念は2000年に改正された建築基準法にも使われているほどポピュラーなもので,対象とする構造物の弾性周期がわかればその4倍程度(何倍程度かは想定する被害レベルによります.ここでは大破以上を想定しているので4倍という値を用いています.)の等価周期の弾性応答に着目すれば,被害が予測できるのは当たり前なのです.応答スペクトルのある周期帯を積分するという概念も全く新しくなく,ASAなどと呼ばれています.

 ただし,どの周期帯に注目すべきかは非常に重要な問題で,1〜2秒という具体的な値を実際の強震記録と周辺被害データで確認し,それを等価周期の概念と対応することを示したことには意義があるとは思います.

 とはいえ,一番問題なのは,「当たり前で当然で,こうやればうまくいくに決まっている」のに,どうしてそれを使わないのか?ということです.

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