4/11'05
千葉県北東部の地震(2005/4/11)で発生した地震動

地震発生日時 : 2005年4月11日 7:22頃
震源位置   : 千葉県北東部(北緯35.7度、東経140.7度)
深さ     : 約60km
マグニチュード: 6.1

各地の震度(震度5弱以上)
・震度5強
 茨城県: 神栖町溝口
 千葉県: 八日市場市ハ,旭市ニ,小見川町羽根川,干潟町南堀之内
      K-NET八日市場
・震度5弱
 千葉県: 佐原市役所,千葉山田町仁良,多古町多古
      光町宮川, 野栄町今泉

波形が公開された防災科学技術研究所K-NETおよびKiK-netによる地動最大加速度,地動最大速度および計測震度を以下に示す.

    観測点名      PGA   PGV   計測
                      震度
    IBR017       51.7   4.1  3.43
    IBR018       93.4   9.3  4.00
    CHB007       80.2   6.0  3.91
    CHB006       71.2   4.2  3.62
    CHB011       84.9  10.3  4.13
    CHB010      234.1  23.7  5.05←5強(K-NET八日市場)
    CHB004       84.4   9.7  4.09
    CHB012       81.4   9.7  4.25
    CHB005       38.3   4.7  3.76
    IBRH17       74.3   3.7  3.44
    CHBH10       45.9   4.2  3.41
    CHBH14       42.2   4.2  3.61
    福岡西方K-NET福岡 280.5  63.1  5.53
    兵庫県南部JR鷹取 742.7  161.9  6.49
    三陸南JMA大船渡 1106.9  32.2  5.84
    新潟中越JMA小千谷 973.3  98.6  6.34
※PGA: 地動最大加速度(cm/s2),PGV: 地動最大速度(cm/s),いずれも水平2方向ベクトル和


 
        K-NET位置図                  KiK-net位置図

地動最大加速度は最も大きいK-NET八日市場で200(cm/s2)を越え,計測震度も5強相当となっているが,それ以外は地動最大加速度は100(cm/s2)以下,計測震度も4相当以下である.

K-NET八日市場(CHB010,震度5強),K-NET東金(CHB012,震度4),K-NET鹿嶋(IBR018,震度4)の加速度波形(水平2方向ベクトル和最大方向)を示す.

 K-NET八日市場
 K-NET東金
 K-NET鹿嶋

また,弾性加速度応答スペクトル(減衰定数5%,水平2方向ベクトル和)を過去の強震記録と比較して示す.



いずれも0.5秒以下の短周期が卓越しており,建物の大きな被害を引き起こす1-2秒の部分は1995年兵庫県南部地震のJR鷹取,2004年新潟県中越地震のJMA小千谷よりはるかに小さく,最も大きいK-NET八日市場でも,先日の2005年福岡県西方沖地震のK-NET福岡(震度6弱)より小さい.

提案する算定法による震度を以下に示す.提案する算定法による震度は,0.1-1秒(計測震度=人体感覚,室内物品の動きに対応),0.5-1秒(建物の中小被害に対応),1-2秒(建物の大きな被害に対応)という3つの周期帯ごとの地震動強さを震度という共通の指標で見ることができるものである.

    観測点名     計測 0.1-1秒 0.5-1秒 1-2秒  提案
             震度  震度  震度  震度   震度

    IBR017      3.43  3.55  3.07  2.91  3.55
    IBR018      4.00  3.91  3.52  3.65  3.91
    CHB007      3.91  3.93  3.37  3.25  3.93
    CHB006      3.62  3.65  3.14  3.15  3.65
    CHB011      4.13  4.08  3.74  3.91  4.08
    CHB010      5.05  5.01  4.67  4.71  5.00
    CHB004      4.09  4.08  3.55  3.68  4.08
    CHB012      4.25  4.28  3.85  3.75  4.28
    CHB005      3.76  3.82  3.48  3.07  3.82
    IBRH17      3.44  3.59  3.01  2.65  3.59
    CHBH10      3.41  3.49  2.98  2.96  3.49
    CHBH14      3.61  3.61  3.22  2.87  3.61
    兵庫県南部JR鷹取 6.49  6.10  5.78  6.63  6.63
    三陸南JMA大船渡  5.84  5.67  4.97  4.73  4.97
    新潟中越JMA小千谷 6.34  6.35  6.03  6.03  6.03

全体に被害に結びつく1-2秒より0.1-1秒という計測震度が対応する短周期における値が大きく,今回の地震による地震動も震度の大きさの割には被害を引き起こさない短周期地震動であったことがわかる.

0.1-1秒震度と1-2秒震度の関係をプロットして既往の強震記録と比較する.



45度の線より左上にくれば,0.1-1秒より1-2秒にパワーがある,即ち,震度の割には大きな被害となる,45度の線より右下にくれば,1-2秒より0.1-1秒にパワーがある,即ち,震度の割には大きな被害とならないことを意味する.今回の地震動は,全て45度の線より右下に来ていて,左上に来ている兵庫県南部地震のような1-2秒にパワーがあって大きな被害を引き起こすタイプのものではなかったことがわかる.

謝辞
強震記録は,防災科学技術研究所,気象庁,鉄道総合技術研究所,NTTファシリティーズより提供いただきました.また,観測点位置図はK-NET,KiK-netのページより転載させていただきました.

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