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波形が即時公開(2002年より運用が開始された新K-NET)された防災科学技術研究所K-NETによる地動最大加速度,地動最大速度および計測震度を既往の強震記録と比較して以下に示す.
観測点名 PGA PGV 計測3点で震度5強相当を記録している.地動最大加速度はK-NET歌津(MYG002),K-NET築館(MYG004)で500(cm/s2)を越える.一方,地動最大速度は,最も大きいK-NET牡鹿(MYG011)で20cm/s程度である.
K-NET歌津(MYG002,震度5弱),K-NET築館(MYG004,震度5強),K-NET牡鹿(MYG011,震度5弱)の加速度波形(水平2方向ベクトル和最大方向)を示す.いずれも0.5秒以下の極短周期が卓越した地震動であることがわかる.
K-NET歌津
K-NET築館
K-NET牡鹿
弾性加速度応答スペクトル(減衰定数5%,水平2方向ベクトル和)を重ね描きし,1978年宮城県沖地震の東北大学の記録(mygthu)と比較して,また,いくつかを過去の強震記録と比較して示す.
0.5秒以下の極短周期が卓越していることが確認され,建物の大きな被害を引き起こす1-2秒の部分は1995年兵庫県南部地震のJR鷹取,2004年新潟県中越地震のJMA小千谷,2005年福岡県西方沖地震の福岡舞鶴より遥かに小さく,震度6弱を記録した2003年三陸南地震のJMA大船渡と同レベルであることがわかる.1978年宮城県沖地震の東北大学の記録(mygthu)と比較しても地震動の性質は大きく異なり,極短周期が卓越していて地動最大加速度や計測震度は大きいものの,大きな被害を引き起こす1-2秒では大きく下回っていることがわかる.
提案する算定法による震度を以下に示す.提案する算定法による震度は,0.1-1秒(計測震度=人体感覚,室内物品の動きに対応),0.5-1秒(建物の中小被害に対応),1-2秒(建物の大きな被害に対応)という3つの周期帯ごとの地震動強さを震度という共通の指標で見ることができるものである.
観測点名 計測 0.1-1秒 0.5-1秒 1-2秒 提案全体に被害に結びつく1-2秒より0.1-1秒という計測震度が対応する短周期における値が大きく,今回の地震による地震動も震度の大きさの割には被害を引き起こさない短周期地震動であったことがわかる.
謝辞強震記録は,防災科学技術研究所,気象庁,鉄道総合技術研究所より提供いただきました.また,観測点位置図はK-NETのページより転載させていただきました.