6/14'08
発生した地震動と予測される被害

 波形が公開された防災科学技術研究所K-NET,KiK-netによる地動最大加速度,地動最大速度および計測震度を以下に示す.

    観測点名      PGA   PGV   計測
                      震度
    AKT023      420.9  24.7   5.26
    IWT010      296.9  27.2   5.06
    IWT012      297.0  13.8   5.01
    MYG004      811.0  49.9   5.72
    MYG005      528.2  69.8   5.51
    MYG006      314.6  42.9   5.55
    MYG013      322.7  26.1   5.00
    IWTH26      1171.4  58.4   6.07
    IWTH24      529.8  39.4   5.50
    AKTH19      261.6  21.2   5.05
    MYGH02      266.6  20.2   5.01
※PGA: 地動最大加速度(cm/s2),PGV: 地動最大速度(cm/s),いずれも水平2方向ベクトル和




        K-NET位置図                         KiK-net位置図   

K-NET中里(AKT023,震度5強),K-NET一関(IWT010,震度5強)、K-NET北上(IWT012,震度5強)、K-NET築館(MYG004,震度6弱)、K-NET鳴子(MYG005,震度6弱)、K-NET古川(MYG006,震度6弱)、K-NET仙台(MYG013,震度5強),KiK-net一関東(IWTH26,震度6強)、KiK-net金ヶ崎(IWTH24,震度6弱)の加速度波形(水平2方向ベクトル和最大方向)を示す.

 K-NET中里

 K-NET一関

 K-NET北上

 K-NET築館

 K-NET鳴子

 K-NET古川

 K-NET仙台

 KiK-net一関東

 KiK-net金ヶ崎


それぞれの弾性加速度応答スペクトル(減衰定数5%,水平2方向ベクトル和)を示す.



また,弾性加速度応答スペクトル(減衰定数5%,水平2方向ベクトル和)を過去の強震記録と比較して示す.



提案する算定法による震度を以下に示す.提案する算定法による震度は,0.1-1秒(計測震度=人体感覚,室内物品の動きに対応),0.5-1秒(建物の中小被害に対応),1-2秒(建物の大きな被害に対応)という3つの周期帯ごとの地震動強さを震度という共通の指標で見ることができるものである.

    観測点名     計測 0.1-1秒 0.5-1秒 1-2秒  提案
             震度  震度  震度  震度   震度

    AKT023      5.26  5.32  4.86  4.77  5.03
    IWT010      5.06  5.06  4.57  4.86  5.00
    IWT012      5.01  5.07  4.52  3.85  4.99
    MYG004      5.72  5.66  5.13  5.25  5.13
    MYG005      5.51  5.29  4.90  5.47  5.06
    MYG006      5.55  5.43  5.16  5.42  5.19
    MYG013      5.00  5.13  4.67  4.57  5.01
    IWTH26      6.07  5.94  5.28  5.06  5.28
    IWTH24      5.50  5.55  5.14  4.92  5.14
    AKTH19      5.05  4.96  4.25  4.30  4.96
    MYGH02      5.01  4.99  4.44  4.27  4.99

コメント:
震度6弱を記録したK-NET築館(MYG004),K-NET鳴子(MYG005),K-NET古川(MYG006)を見ると,K-NET築館(MYG004)は,0.5秒以下の極短周期が卓越した地震動で,被害と対応した1-2秒震度は5強と震度の大きさほどの被害を引き起こすものではない.一方,K-NET鳴子(MYG005),K-NET古川(MYG006)2点は,1秒以上の応答がやや大きくなっていて,被害と対応した1-2秒震度もK-NET築館(MYG004)より大きくなっているが,それでも5強である.

震度6強を記録し,地動最大加速度が1000galを越えたたKiK-net一関東(IWTH26),震度6弱を記録したKiK-net金ヶ崎(IWTH24)も0.5秒以下の極短周期が卓越した地震動で,被害と対応した1-2秒震度は,それぞれ5強,5弱である.

過去の強震記録と比較すると,被害を引き起こす1-2秒応答は,2005年福岡県西方沖地震のK-NET福岡(福岡市民会館脇,近傍には軽微な被害がいくつか見られる程度の被害)程度,震度6強を記録した2004年新潟県中越地震のJMA小千谷の半分〜1/3程度である.ただし,これらのことは,あくまで地震計が設置されている地点の近傍についてのことであり,今回の地震のように震源が浅い直下地震の場合は,震源近傍ではより破壊力のある地震動が発生した可能性もある.

 得られた強震記録から計測震度分布,被害と対応した1-2秒震度分布,予測される被害分布図を以下に示す.予測方法はこちら

計測震度分布↓

計測震度による予測全壊建物数(棟/km2)↓

計測震度による予測死亡者数(人/km2)↓

1-2秒震度分布↓

1-2秒震度による予測全壊建物数(棟/km2)↓

1-2秒震度による予測死亡者数(人/km2)↓

追加公開され,震源近傍のKiK-netの記録を加えた計測震度分布,被害と対応した1-2秒震度分布,予測される被害分布図を以下に示す.

計測震度分布↓

計測震度による予測全壊建物数(棟/km2)↓

計測震度による予測死亡者数(人/km2)↓

1-2秒震度分布↓

1-2秒震度による予測全壊建物数(棟/km2)↓

1-2秒震度による予測死亡者数(人/km2)↓

謝辞
強震記録は,防災科学技術研究所,気象庁,鉄道総合技術研究所より提供いただきました.また,観測点位置図はK-NETのページより転載させていただきました.

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