今朝の7時のニュースでも流れたみたいですが,明日の21時に放送がありますので,よろしければご覧ください.内容としては,熊本地震で大きな長周期地震動が観測されたこと,もしこのような地震動が都市部で発生すれば,免震建物,超高層建物に大きな被害が生じる可能性があること,そして,このような地震動は,過去に日本で何度も発生していたということです.

 長周期地震動が超高層建物を大きく揺らすことは,よく知られていますが,それは,周期を伸ばして地震力を低減させている免震建物も同様です.超高層,免震建物,ともに,現代技術の粋を集めたもので,他の建物より高い耐震性能を有しています.しかし,これには,前提があります.それは,発生する地震動の大部分(80%以上)は,短周期地震動ということです.そういったものには,超高層,免震建物は,圧倒的な性能を発揮します.しかしながら,確率は低いですが,長周期地震動が発生すると,却って大きく揺れてしまいます.

 では,長周期地震動は,どのくらいの確率で発生するのか,ということなのですが,過去日本で発生した震度6弱以上の記録を調べたところ,大破といった大きな被害を生じさせるものは,2%,ある程度の被害が生じるものが4%でした(今行われている日本建築学会大会で9/3に学生が発表します).そして,これらは,東日本大震災ではほとんど発生しておらず,熊本地震も含めて,多くは,内陸直下のマグニチュード7クラスの地震で発生したものでした.つまり,首都直下地震を含めて,日本全国で発生しうるということです.

 この2%,4%という数字ですが,決して高くはありませんが,0ではない,つまり,免震建物も超高層建物も万能ではないということです.もちろん,大部分の短周期地震動には,大きな効果を発揮しますが,確率は低くくても,そういうことも起こりうるということは,肝に銘じておくべきで,対策を講じる必要もあるでしょう.

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