2024年能登半島地震で発生した地震動と推定される建物被害

 地震の揺れ(地震動)による建物被害は,震度が大きくなると大きくなるという単純なものではなく,地震動の周期特性,具体的には,周期1〜2秒の成分(以下,1-2秒)がどれだけ含まれているかが重要です.

 地震動の周期特性は,横軸周期,縦軸応答加速度(揺れの強さ)の応答スペクトルを見ることでわかります.応答スペクトルの横軸1-2秒の範囲の応答加速度(揺れの強さ)が大きいほど,建物の大きな被害を引き起こすことがわかっており,この値が0.5Gくらいから被害が出始め,1Gを超えるとかなり被害が出る,1995年兵庫県南部地震のJR鷹取のように2Gに達すると壊滅的な被害になります.

 防災科学技術研究所のK-NETで公開された記録を分析した結果,震度が大きいというだけではなく,建物の大きな被害を引き起こす1-2秒が非常に大きくなっているところがあり,その周辺では,建物に大きな被害が生じていると推定されます.

 具体的には,K-NET穴水で,1995年兵庫県南部地震のJR鷹取に匹敵する1-2秒が出ており,K-NET正院(珠洲市),K-NET輪島でもかなり大きな1-2秒が出ています.K-NET輪島は,地盤が硬いところに設置されていますので,輪島市内の他の場所では,更に大きな1-2秒が出ている可能性があります.一方,穴水は,局所的に地盤が軟弱なところです.

 強震記録を基に被害の空間分布を推定した結果も公開しています.被害は,1-2秒の大きさだけではなく,どのくらいの建物があるか,人がどのくらい住んでいるかにもよるので,それを組み合わせた結果を見ると,珠洲市,輪島市,穴水町で,建物の大きな被害が生じていると推定され,人口が多い,七尾市でも,被害が出ているという推定結果になっています.

 詳しくは,こちらをご覧ください.

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