地震の揺れ(地震動)による建物被害は,震度が大きくなると大きくなるという単純なものではなく,地震動の周期特性,具体的には,周期1〜2秒の成分(以下,1-2秒)がどれだけ含まれているかが重要です.
地震動の周期特性は,横軸周期,縦軸応答加速度(揺れの強さ)の応答スペクトルを見ることでわかります.応答スペクトルの横軸1-2秒の範囲の縦軸の応答加速度(揺れの強さ)が大きいほど,建物の大きな被害を引き起こすことがわかっており,この値が0.5くらいから被害が出始め,1を超えるとかなり被害が出る,1995年兵庫県南部地震のJR鷹取のように2に達すると壊滅的な被害になります.
逆に震度7でも,1秒以下の短周期が多くても,1-2秒の成分が少ないと,東日本大震災(2011年東北地方太平洋沖地震)のK-NET築館,2024年能登半島地震のK-NET富来(志賀町)のように大きな被害は生じません.震度は1秒以下の短周期と関係していて,これが大きくなると,ガラスが割れたり,室内が散乱したりという被害は生じますが,周期1-2秒が大きくならないと(震度が大きくなっても)建物が倒壊するような大きな被害にはなりません..
防災科学技術研究所のK-NETで公開された記録を分析した結果,1秒以下の短周期が主体で,震度は大きくなるものの,建物の大きな被害を引き起こす1-2秒はあまり出ていません.最も1-2秒が大きいK-NET八戸でも0.3程度なので,2024年能登半島地震の輪島,珠洲の1〜1.5より遥かに小さいです.
ですので,今回の地震で震度6強で,この程度の被害で済んだのだから建物の耐震性は充分ということではなく,同じ震度6強,6弱でも1〜2秒の成分が出れば,今回より遥かに大きな被害になるので,注意が必要です.