NHKスペシャルを見て検索サイトでここに来られた方は長周期地震動について
もご覧ください.
最新版をこちらに公開しました
簡単な模型と振動台を使って,長周期地震動と短周期地震動の違いを
わかりやすく?示したデモンストレーション
地震動は,単に揺れが強い,弱いと言った単純なものではありません.素速い
揺れ(短周期),ゆったりした揺れ(長周期)が複雑に混ざっています.そし
てその混ざり方は,震源や表層地盤の影響などによって,素速い揺れが卓越す
る場合,ゆったりした揺れが卓越する場合があります.具体的には,例えば震
源がプレート間の場合や表層地盤が軟らかい場合などには長周期が卓越し,震
源がプレート内の深い地震の場合や表層地盤が固い場合などには短周期が卓越
すると言われています.
図1は,震源がプレート内の深い地震だった2003年5月26日の宮城県沖を震源と
する地震の波形,図2は,震源がプレート間だった1978年宮城県沖地震の波形
です.両者を比較すると図1の2003年5月26日の宮城県沖を震源とする地震の波
形が細かく素速く揺れているのに対して,1978年の宮城県沖地震の波形の方が
ゆったりしていて長周期が卓越していることがわかります.そして,短周期が
卓越する地震動より長周期が卓越する地震動の方が大きな被害をもたらします.
図3は,1995年兵庫県南部地震の波形ですが,揺れがゆったりしていて長周期
が卓越していることがわかります.
図1 2003年宮城県沖を震源とする地震の波形(K-NET牡鹿)
図2 1978年宮城県沖地震の波形(東北大学)
図3 1995年兵庫県南部地震の波形(神戸NTT)
2003年5月26日の宮城県沖を震源とする地震では,短周期が卓越したため被害
が少なくて済みましたが,本来の宮城県沖地震の震源の位置はプレート間が想
定されているため,長周期が卓越する可能性が高く,被害がもっと大きくなる
ことが考えられます.そして実際に1978年の宮城県沖地震では,そのような波
形が観測されています.
更に問題点として,現在の震度は,人体感覚に対応した短周期(人は素速い揺
れを強いと感じます)に重きをおいているため,今回の地震のように短周期が
卓越すると被害がないのに震度は大きく出ますが,想定される宮城県沖地震の
ように長周期が卓越すると,震度が大きくなくても大きな被害が発生する可能
性があり非常に危険です.
そこで,簡単な模型と振動台を使って,短周期が卓越する地震動(短周期地震
動)と長周期が卓越する地震動(長周期地震動)の簡単なデモンストレーショ
ンを行ってみました.