3/20'05
発生した地震動の性質と予想される被害

波形が公開された防災科学技術研究所K-NETおよびKiK-netによる地動最大加速度,地動最大速度および計測震度を,計測震度5弱以上のものについて以下に示します.

  観測点名      PGA   PGV   計測
                    震度
  FKO001      284.1  12.2  4.51
  FKO002      129.8  13.0  4.56
  FKO005      255.6  13.9  4.70
  FKO006      280.5  63.1  5.53(福岡市) ←6弱
  FKO007      267.8  22.1  5.13(前原市) ←5強
  FKO011      245.0  27.2  5.24(久留米市)←5強
  FKO015      183.2  14.3  4.92
  SAG001      246.5  11.2  4.51
  SAG002      309.0  14.5  4.88
  FKOH02      207.3  10.8  4.56
  FKOH09      177.3   9.0  4.50
  SAGH03      230.9   9.9  4.56
  兵庫県南部JR鷹取 742.7  161.9  6.49
  三陸南JMA大船渡 1106.9  32.2  5.84
  新潟中越JMA小千谷 973.3  98.6  6.34
※PGA: 地動最大加速度(cm/s2),PGV: 地動最大速度(cm/s),いずれも水平2方向ベクトル和


 
          K-NET位置図                    KiK-net位置図

地動最大加速度は大きいもので200〜300(cm/s2)程度ですが,FKO006(福岡市中心部)で震度6弱,地動最大速度63.1cm/sとかなり大きな値になっています.その他ではFKO007(前原),FKO011(久留米)で震度5強となっています.

提案する算定法による震度を,同様に計測震度5弱以上のものについて以下に示します.提案する算定法による震度は,0.1-1秒(計測震度=人体感覚,室内物品の動きに対応),0.5-1秒(建物の中小被害に対応),1-2秒(建物の大きな被害に対応)という3つの周期帯ごとの地震動強さを震度という共通の指標で見ることができるものです.

  観測点名     計測 0.1-1秒 0.5-1秒 1-2秒  提案
           震度  震度  震度  震度   震度
  FKO001      4.51  4.52  3.93  3.86  4.52
  FKO002      4.56  4.64  4.27  4.12  4.64
  FKO005      4.70  4.70  3.96  3.58  4.70
  FKO006      5.53  5.28  4.97  5.37  5.11(福岡市)
  FKO007      5.13  5.24  4.78  4.49  5.02(前原市)
  FKO011      5.24  5.31  5.05  4.63  5.15(久留米市)
  FKO015      4.92  4.98  4.59  4.04  4.98
  SAG001      4.51  4.48  3.84  4.05  4.48
  SAG002      4.88  4.79  3.99  3.86  4.79
  FKOH02      4.56  4.48  3.63  3.57  4.48
  FKOH09      4.50  4.64  4.17  3.67  4.64
  SAGH03      4.56  4.42  3.69  3.29  4.42
  兵庫県南部JR鷹取 6.49  6.10  5.78  6.63  6.63
  三陸南JMA大船渡  5.84  5.67  4.97  4.73  4.97
  新潟中越JMA小千谷 6.34  6.35  6.03  6.03  6.03

計測震度ではFKO006(福岡市中心部)で震度6弱となっていますが,1-2秒震度を見ると5.37と震度5強相当なので,周辺では建物の大きな被害は生じていない(1%以下)と予想されます.計測震度が5強のFKO011(久留米),FKO007(前原)おける1-2秒震度は5弱相当です.

計測震度が大きかったK-NET福岡(FKO006,6弱),前原(FKO007,5強),久留米(FKO011,5強)の加速度波形(水平2方向ベクトル和最大方向)と弾性加速度応答スペクトル(減衰定数5%,水平2方向ベクトル和)を過去の強震記録と比較して示します.

 K-NET福岡
 K-NET前原
 K-NET久留米



0.5秒程度の短周期が卓越しており,いずれも建物の大きな被害を引き起こす1-2秒の部分は1995年兵庫県南部地震のJR鷹取,2004年新潟県中越地震のJMA小千谷よりはるかに小さいものの,2003年三陸南地震のJMA大船渡(6弱)よりはやや大きいことがわかります.従って,震度6弱を記録したものの観測点周辺では大きな被害は生じていないことが予想されます

謝辞
強震記録は,防災科学技術研究所,気象庁,鉄道総合技術研究所より提供いただきました.また,観測点位置図はK-NET,KiK-netのページより転載させていただきました.

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