4/21'05
福岡県西方沖の地震(2005/4/20)で発生した地震動

地震発生日時 : 2005年4月20日 6:11頃
震源位置   : 福岡県北西部(北緯33.7度、東経130.3度)
深さ     : 約10km
マグニチュード: 5.7

各地の震度(震度5弱以上)
・震度5強
 福岡県: 福岡博多区博多駅前,福岡中央区舞鶴,福岡南区塩原,福岡早良区百道浜
      春日市原町,福岡新宮町緑ヶ浜,碓井町上臼井
・震度5弱
 福岡県: 福岡東区東浜,福岡中央区大濠,福岡西区玄界島,福岡西区今宿
      大野城市曙町,宗像市東郷, 那珂川町西隈,須恵町須恵,福岡古賀市駅東
      粕屋町仲原,福津市津屋崎,若宮町福丸,筑前町下高場
      K-NET福岡

波形が公開された防災科学技術研究所K-NETおよびKiK-netによる地動最大加速度,地動最大速度および計測震度を以下に示す.

    観測点名      PGA   PGV   計測
                      震度
    FKO005      115.6   4.5  4.11
    FKO006      259.7  22.4  4.96
    FKO007      127.1   8.6  4.24
    FKO009      137.2   7.0  4.32
    FKO011      114.8  11.8  4.47
    FKO012       87.2   7.9  4.13
    FKOH03      341.0   7.1  4.36
    FKOH05      118.2   2.1  3.44
    FKOH08      150.0   4.2  3.89
    SAGH03      128.1   3.6  3.86
    福岡西方K-NET福岡 280.5  63.1  5.53
    兵庫県南部JR鷹取 742.7  161.9  6.49
    三陸南JMA大船渡 1106.9  32.2  5.84
    新潟中越JMA小千谷 973.3  98.6  6.34
※PGA: 地動最大加速度(cm/s2),PGV: 地動最大速度(cm/s),いずれも水平2方向ベクトル和


 
        K-NET位置図                       KiK-net位置図

K-NET福岡(FKO006,震度5弱),K-NET久留米(FKO011,震度4)の加速度波形(水平2方向ベクトル和最大方向)を示す.

 K-NET福岡
 K-NET久留米

また,弾性加速度応答スペクトル(減衰定数5%,水平2方向ベクトル和)を過去の強震記録と比較して示す.



本震と比較するとより短周期が卓越していることがわかる.

提案する算定法による震度を以下に示す.提案する算定法による震度は,0.1-1秒(計測震度=人体感覚,室内物品の動きに対応),0.5-1秒(建物の中小被害に対応),1-2秒(建物の大きな被害に対応)という3つの周期帯ごとの地震動強さを震度という共通の指標で見ることができるものである.

    観測点名     計測 0.1-1秒 0.5-1秒 1-2秒  提案
             震度  震度  震度  震度   震度

    FKO005      4.11  4.03  3.19  2.54  4.03
    FKO006      4.96  4.99  4.59  4.16  4.99
    FKO007      4.24  4.33  3.78  3.42  4.33
    FKO009      4.32  4.40  3.79  3.28  4.40
    FKO011      4.47  4.52  4.17  3.64  4.52
    FKO012      4.13  4.25  3.86  3.42  4.25
    FKOH03      4.36  4.23  3.40  2.99  4.23
    FKOH05      3.44  3.25  2.40  1.95  3.25
    FKOH08      3.89  3.73  2.87  2.46  3.73
    SAGH03      3.86  3.73  2.93  2.50  3.73
    兵庫県南部JR鷹取 6.49  6.10  5.78  6.63  6.63
    三陸南JMA大船渡  5.84  5.67  4.97  4.73  4.97
    新潟中越JMA小千谷 6.34  6.35  6.03  6.03  6.03

全体に被害に結びつく1-2秒より0.1-1秒という計測震度が対応する短周期における値が大きく,今回の地震による地震動も震度の大きさの割には被害を引き起こさない短周期地震動であったことがわかる.

0.1-1秒震度と1-2秒震度の関係をプロットして既往の強震記録と比較する.



45度の線より左上にくれば,0.1-1秒より1-2秒にパワーがある,即ち,震度の割には大きな被害となる,45度の線より右下にくれば,1-2秒より0.1-1秒にパワーがある,即ち,震度の割には大きな被害とならないことを意味する.今回の地震動は,全て45度の線より右下に来ていて,左上に来ている兵庫県南部地震のような1-2秒にパワーがあって大きな被害を引き起こすタイプのものではなかったことがわかる.

謝辞
強震記録は,防災科学技術研究所,気象庁,鉄道総合技術研究所,NTTファシリティーズより提供いただきました.また,観測点位置図はK-NET,KiK-netのページより転載させていただきました.

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