大崎市古川三日町で破壊力のある地震動が記録されています.
→その後の解析で破壊力はさほどでもないことがわかりました.
気象庁強震観測点の強震波形が公開されたので,その性質について検討した.
地動最大加速度,地動最大速度および計測震度を以下に示す.
観測点名 PGA PGV 計測
加速度波形(水平2方向ベクトル和最大方向)を示す.記録時間が120秒までしかないので,主要動の途中までしか記録されていないものもあることに注意.
4B910(JMA大崎市古川三日町)
4BF10(JMA郡山市朝日)
8A310(JMA松島町高城)
8A410(JMA涌谷町新町)
8A510(JMA登米市中田町)
8FE10(JMA常陸大宮市中富町)
8FF10(JMA鉾田市鉾田)
90310(JMA那須烏山市中央)
D2E10(JMAいわき市三和町)
E0610(JMA仙台宮城野区五輪)
E0810(JMA石巻市泉町)
また,弾性加速度応答スペクトル(減衰定数5%,水平2方向ベクトル和)を示す。
提案する算定法による震度を以下に示す.提案する算定法による震度は,0.1-1秒(計測震度=人体感覚,室内物品の動きに対応),0.5-1秒(建物の中小被害に対応),1-2秒(建物の大きな被害に対応)という3つの周期帯ごとの地震動強さを震度という共通の指標で見ることができるものである.
観測点名 計測 0.1-1秒 0.5-1秒 1-2秒 提案ほとんどの強震記録は,K-NET, KiK-netのものと同様,1秒以下の短周期が卓越したもので,建物の大きな被害を引き起こすものではないが,唯一,大崎市古川三日町のものは,建物の大きな被害を引き起こす1-1.5秒が卓越していて,破壊力のあるものとなっている.1kmほど離れたK-NET古川(周辺に大きな被害建物なし)と比較すると
この1-1.5秒の部分だけが励起されており,表層地盤の影響が考えられる.微地形区分で見ると両者に違いはないが,この観測点周辺の状況を見ると,川や水路が流れていて地盤が軟弱である可能性がある.
実際の被害状況は,全壊建物が10棟程度あり,調査した観測点の中では,須賀川市八幡町震度計と並んで,被害が大きかった地点で,被害と地震動の性質は対応している.ただし,被害レベルは,全壊率にして,数%程度であり,実際の被害は,地震動から考えられるものよりは小さいと言える.その原因については,今後の検討が必要である.
謝辞