研究テーマ

 一言で言うと「地震による構造物被害に伴う人命の損失を減らす」ための研究をしています.地震による構造物被害に伴う人命の損失を減らすには,

a) 構造物の被害を減らす
b) 構造物の被害を減らせなくても人命の損失は減らす

の2つの取り組み方があります.a)は,これから作る構造物を耐震的にすること(耐震設計法の検討,建設構法の開発)や,既存構造物を耐震補強することなどがあります.一方,b)は,構造物の耐震性は現状のままだとして,例えば,地震直後にその被害程度を正確かつすばやく把握し,速やかな対応をすることによって,人命の損失を最小限に食い止めよう,といったことがあります.

 a)はいわゆる「正攻法」で,これまではこれを主体に取り組んできましたし,数多くの研究者もこれに携わっています.しかし最近,これだけだと効果が現れるのにどうしても時間がかかってしまうので,いつ大地震が来てもおかしくない状況を考えると,もっと即効性のあることもやった方がいいのでは,と考えるようになってきました.今の不景気な世の中では,コストもばかになりません.人間,一生に一度遭遇するかどうかわからないような大地震に対して何百万も何千万もかけて自分の家やビルを耐震補強しよう,という気にはなかなかならないものです.そういうわけで最近は,だんだんb)を主体に取り組むようになってきました.でももちろん,a)にも取り組んでいこうと思っています.ポリシー:工学なので社会の役に立たなければ意味がない.

 いずれにしても地震被害を減らすには,地震から構造物まで幅広く取り組み,これらを総合的に考慮に入れた検討を行う必要があると考えています(ポリシー:地震被害を減らすには地震と構造物の双方に精通する必要がある).幅広い分野に取り組むのは大変ですが,「地震被害を減らす」という目的に絞り込めば,何とか可能だと考えています.さすがに1人だと大変なので(^^;,いろんな人達と共同研究しています(共同研究者は下の研究テーマの中のリンクを参照).でも1人で研究するより,いろんな人といっしょにやる方が楽しいですよね.ポリシー:独りよがりにならず人の意見は素直に聞く.でも最終的には自分で判断する.

 具体的には次のようなテーマに取り組んでいます.2.と3.がa)に,1.と4.がb)に相当しますね.

1.地震動の破壊力指標の検討
2.設計用地震荷重の検討
3.鉄筋コンクリート造建物の動的挙動,耐震設計法の検討
4.地震被害想定,地震リスク評価
5.地震被害調査

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