12/24'04
新潟県中越地震における川口町川口,山古志村震度計などの
強震記録の破壊力
境有紀(筑波大学大学院システム情報工学研究科)
大月俊典(筑波大学第三学群工学システム学類)

新潟県中越地震における川口町川口,山古志村竹沢,新潟小国町法坂,新潟川西町水口沢の各震度計の強震記録が公開されたので,他の強震記録と同様の解析を行った.弾性加速度応答スペクトルを他の観測点と比較して図1に,1995年兵庫県南部地震などの過去の強震記録と比較して図2に示す.


図1 弾性加速度応答スペクトル(水平2方向ベクトル合成,減衰定数5%)
他の観測点との比較

図2 弾性加速度応答スペクトル(水平2方向ベクトル合成,減衰定数5%)
1995年兵庫県南部地震などの強震記録との比較

川口町川口,山古志村竹沢の2記録,特に川口町川口の強震記録は,0.5秒以下の短周期が卓越した小千谷,長岡,十日町などの新潟県中越地震の他の強震記録とは明らかに性質が異なり,建物の大きな被害を引き起こす1-2秒にもパワーがあることがわかる.その1-2秒応答の大きさは,新潟県中越地震の他の記録の2倍にも達し(図1),1995年兵庫県南部地震のJR鷹取や葺合にも匹敵する(図2).そして,このことは川口町川口(川口町役場)観測点周辺で生じている実際の建物被害とも対応している.

提案する震度算定法による0.1-1秒,0.5-1秒,1-2秒の3つの周期帯に対応した震度および計測震度を表1に示す.川口町,山古志村の2記録は0.1-1秒震度より1-2秒震度が大きくなっていて,建物の大きな被害を引き起こす1-2秒に大きなパワーをもっていたことがわかる.

表1 観測点の提案震度と計測震度

   観測点名   0.1-1秒 0.5-1秒 1-2秒 提案 計測
           震度  震度  震度  震度 震度
 川口町川口     6.08  5.71  6.61  6.61 6.52
 山古志村竹沢    6.17  5.91  6.42  6.42 6.35
 新潟小国町法坂   6.09  5.71  5.37  5.71 6.02
 新潟川西町水口沢  5.64  5.20  5.15  5.20 5.70
 兵庫県南部 JR鷹取 6.10  5.78  6.63  6.63 6.48
 兵庫県南部 葺合  6.15  5.90  6.40  6.40 6.49

謝辞
強震記録は,気象庁,JR総合技術研究所,大阪ガスより提供していただきました.また,貴重な強震記録の復元にご尽力いただいた関係各位に心より感謝申し上げます.

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