※NHKスペシャルを見て検索サイトでここに来られた方は長周期地震動についてもご覧ください.

A2. 現在の震度が安全側に出ているのは,短周期が卓越した地震動が発生する地震が続いているからであって現在の震度は安全側(=大きめに出る)ではありません.建物被害にもっと大きな影響を与える1-2秒にパワーをもった地震動(例えば1995年兵庫県南部地震で発生した地震動)に対してはむしろ危険側(=小さめに出る)となり,地震防災上非常に問題です.

 ですから現在の震度が大きめに出るからと言って,震度6を震度5に,というように全体をシフトさせるというのは問題外で,最もやってはいけないことです.詳しくは,今年(2003年)の日本建築学会大会(9/5〜7)で共同研究者の神野達夫氏(広島大学大学院)から発表予定です.

 また,短周期地震動と長周期地震動の違いが実際の被害に与える影響,計測震度との関連について,2003年5月26日に発生した宮城県沖を震源とする地震を例として,わかりやすく?示したものを

簡単な模型と振動台を使って,長周期地震動と短周期地震動の違いをわかりやすく?示したデモンストレーション

に載せましたので,よろしかったらご覧ください.

 しかし,1995年兵庫県南部地震のような1-2秒にパワーをもった地震動が起こる頻度は,0.5秒以下の短周期が卓越する地震動よりも低いのは事実だと思います.なぜならマグニチュードが小さい地震は大きい地震より短周期が卓越する傾向があり,当然のことながらマグニチュードが小さい地震の方がたくさん起こるからです.

 しかしながら,東海地震のような海洋型でマグニチュード8クラスの地震では,長い周期が卓越すると予想されていますし,内陸直下でマグニチュード7クラスでも1995年兵庫県南部地震のように1秒程度が卓越する場合もあります.つまり,頻度は低くても一度に甚大な被害をもたらすことが問題なのであって,頻度が低いからといって決して侮ってはいけない,地震とは本来そういう性格の災害だと考えています.

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