更新がすっかりご無沙汰で,一番肝心?な部分が残ってしまっていました(^^;.「クラシック音楽入門?」の主旨は,「どこかで聴いたことがある曲をとっかかりとして,真の名曲,自分のお気に入りの曲を探しながらクラシック音楽を聴いていく」ことなので,ポピュラーなものだけで留まっているのでは意味がありません.ということでポピュラーなショパンのピアノ曲のその1〜4で紹介した以外のものをここでは紹介します.
どうしてもはずせないのは,まずはバラードとスケルツォでしょう.それぞれ4曲ずつあります.そのどれも単独の作品番号をもち,長さも中程度とショパンの楽曲の中では比較的規模が大きく,演奏会で取り上げやすいのでよく演奏されます.特にバラードの1番, Op.23, 3番, Op.47と4番, Op.52,スケルツォの2番, Op.31,3番, Op.39と4番, Op.54はよく演奏され,バラードの4番はショパンの最高傑作の1つとされています.作品番号は出版順に付いていますので,後に行くほど晩年の作品ということになり,その完成度,円熟度が増してきます.ショパンの場合は,Op.52のバラード4番からOp.61のポロネーズ−ファンタジーまでは傑作揃いです.
ピアノソナタ第3番, Op.58はその4で既に紹介したので,あとは,どうしてもはずせないのはバルカローレ(舟歌), Op.60とファンタジー(幻想曲), Op.49でしょうか.これらも比較的規模が大きいのでよく演奏会で取り上げられます(ファンタジーは少し大きすぎて敬遠されるきらいがあるが).特に舟歌は晩年の傑作でとてもよく演奏されます.なお「晩年の傑作」という言葉が何回も出てきますが,ショパンは39で亡くなっているので,晩年と言っても30代です.若くして(30代で)亡くなった大作曲家はたくさんいます.有名なところではモーツァルト,シューベルト,メンデルスゾーンなども30代で亡くなっています.私はもう40を過ぎたので(^^;,30代にいったい何をしていたのかと思うとほんと暗澹たる思いになります.せめて40代は「何か」したいと思っています.
30代で亡くなった大作曲家は枚挙にいとまないですが,分野を変えるともっとすごいことになってきます.有名?なところでは20で決闘(!)で命を落とした大数学者ガロアでしょう.ここまで来るともう唖然と言うほかありません.数学もそうでしょうが,音楽,特に,作曲はセンスというかどうしようもない才能のようなものを感じざるを得ません.私も作曲をかじったことはありますが,ほんとにどうしようもないものしかできませんでした.T大ピアノの会にいたとき,Y永氏が,「武満以外の邦人作曲家の曲はみんな鼻くそみたいなもんやで」と言っていたのを思い出しますが,みょーに納得してしまったのを憶えています.
これと対照的?なものにいわゆるバンド,つまりポピュラー系の音楽があります.1990年頃のバンドブームを憶えておられる人もいると思いますが,私もいかすバンド天国,いわゆる「イカ天」にはまりました.当時はまだ博士課程の,しかも2年から3年にかけてのとても大変な時期で,土曜の深夜に放送されるイカ天を録画しておいて,日曜の午前中に見るのを楽しみにしていたのを思い出します.私の自慢(^^)vは,ブームになってから見だしたのではなく,ちゃんと第1回から,即ち,Slut&Slush Bandがイカ天キングになった回から最終回まで1回も欠かさず見たことです.まあ,第1回を見たのは偶然というか,当時,バドミントンのサークルでいっしょだったI丸さんに女の子連れてくるからスキーに行こうと誘われて,でもその女の子に急に仕事が入ったので連れていけなくなった,と言うので,どんな女の子だったのかな,と思って見た,というのが真相なのですが(^^;...その女の子というのは司会のM宅Y司氏のアシスタントをしていたA原勇だったわけです.
イカ天を見て驚いたのは,もちろん,どうしようもない(^^;バンドもあるのですが,多くのバンドはオリジナルの曲を演奏していて,つまり,「作曲」していて(中にはコピーバンドやカバーもありますが),1回で10くらい出てくるバンドの中に2つか3つくらいは「ほう」と思うものがあったことです(ちなみに最も私の印象に残っているバンドはサイバーニュウニュウです).クラシックの世界ではあんなに作曲するのが大変,というか希有な才能がないと不可能なのに,軽音楽系では素人のバンドですらかなり「いかす」曲をばんばん作曲(演奏)できるわけです.当然,素人でこんなレベルなら,プロのバンドはどんなレベルなんだろうとなり,そこからバンド系の音楽,それもハードロック系にはまって行くことになりました.
ハードロック系を中心に洋楽,邦楽とそれこそ手当たり次第に聴きましたが,残念ながら邦楽にはこれといったものはありませんでした(当時は).むしろイカ天に出ている素人バンドの演奏の方がおもしろいと思ったくらいです.まあポピュラー系の音楽は売れてなんぼという世界ではあるので,それがとても問題と言えば問題です.お金で何でも買える?でも書いていますが,売れたものの芸術的価値は低いと私は思っています.ただしお金儲けが目的なら別の話になってきます.モー娘。を売り続けるTんくは音楽家としてはともかく(私が評価しているモー娘。の曲は,恋のダンスサイト,ハッピーサマーウェディングとプッチモニのちょこっと LOVE ,ミニモニのミニモニ。じゃんけんぴょんくらいです)商売人としては超一流でしょう.それは,ビルゲイツもしかりです.モー娘。を売り続けるTんくのアイデアの数々は一目置くに値するもので,私も公開オーディションをASAYANで放送していたときは,結構見ていました(^^;.
話をハードロックに戻します.そんな中で私が気に入ったのは,ディープパープルなどのいわゆる古典的ハードロック(ただしレッドツェッペリンはあまり好きではなかった),ヴァンヘイレンなどのすかっと爽やか?なアメリカンハードロック,そして,メタリカを中心とする(ただしメタリカはあまり好きではなく,メガデスやラーズロキット,アンスラックスなどの方が好きでした)最左翼?のスラッシュメタルでした.ジューダスプリーストやアイアンメイデンなどのいわゆるど真ん中のヘビメタもそれほど好きではありませんでした.当時はボンジョビの最盛期でしたがボンジョビは結構好きでした.
私は,音楽は聴くものではなく演奏するものだと思っています.確かにCD, MDやLP(^^;,カセットテープ(^^;は何万点ももっていますが,これらは「音楽鑑賞」が目的ではなく,自分が弾く曲探しをするためのものです.ですが,これは私に限らずそうだと思います.「カラオケ」がこれだけブレークしたのも,音楽を「演奏」する喜びにみんなが気がついたからでしょう.楽器を思うように演奏できるようになるのは,並大抵のことではないですが,歌なら何とか歌えるわけです.
そして,ハードロックという世界を今更ながら知ってしまったとき,当然のようにこれらの曲を「演奏」したい衝動にかられました.もちろん,バンドをやることも考えられますが,自分がギターかベースかドラムの演奏技術を習得して残りのメンバーを集めるのは至難の業です.私はピアノと木管楽器のいくつか(クラリネット,サックス,フルート)は演奏できますが(ヴィラ=ロボスはオケで使われるほぼ全ての楽器が演奏できたらしい(^^;),ギター,ベース,ドラムなどのいわゆるバンド系の楽器はやったことがありません.もちろんキーボードなら楽勝?でしょうが,ハードロックバンドやるなら,ギター,ベース,ドラムのどれかでしょう.ヴォーカルならカラオケと同じでとりあえず歌えば何とかなりますが,ヴォーカルは「声」が楽器なので,私はカラオケで95点は取れても(^^;,肝心の声といういい「楽器」をもっていないので話になりません.
ということで,思いついたのは,ハードロックの曲をピアノに編曲して1人で(^^;演奏する,ということでした.編曲は,大学時代にストラヴィンスキーの春祭をソロに編曲して(普通は2人で演奏する)演奏した経験があります.編曲はもちろんそれ自体とても奥行きがあるものですが,とりあえず音を並べるだけでどの位様になるかはかなり重要です.それでいくつか編曲して弾いてみたのですが,これが結構様になってるんですよね(^^).ハードロックのビートとピアノの打楽器的なところの雰囲気がかなり近いせいだと思います.ただし...春祭を編曲したときもそうでしたが,かなりの「超絶技巧」になってしまいます.まあ普通は4人くらいのバンドで演奏するものを1人で演奏するわけですから...ただ音を並べているだけなので,きたなーく音が重なるところもありますが,それがまた独特の雰囲気を醸し出します.こういう和音どこかで聴いたような...そうだ,こりゃアルカンだな(^^;.超絶技巧だし(アルカンに失礼ですかね).
ということで「ポピュラーかつ古典的ハードロックをアルカン的超絶技巧ピアノ曲に編曲」という長ったらしいタイトルでぼちぼち作業を始めました.最初にポピュラーとついているのは,あんまり無名な曲を編曲してもうけないと思ったからです.近現代音楽 いまむかしの最後に書いている「新ネタ」というのは実はこれのことです.編曲と練習を終えたのは,ボンジョビのBad Medicine,ディープパープルのBlack Nightで,編曲中なのがヴァンヘイレンのJumpです(というかこの曲の途中で忙しくて中断している(^^;).ただ,自分では結構様になってると思うのですが,実際に人様の前で弾くのはちょっと怖いですねー.midiでしたが高校時代のクラブでいっしょだったかなり音楽に造詣の深い友人に聴いてもらったら(無理矢理送りつけた(^^;)結構好感触ではありましたが...少なくとも原曲を知っている人でないと「ただの難しいピアノ曲(^^;」になってしまうので...ですから,普段私が弾いているいわゆるクラシックの人達の前で弾くのはかなり憚られ,ということは,なかなか披露する場所がないなー,というのが悩み?です(まだ曲数もそんなにないが).
なんかポピュラーでない?ショパンのピアノ曲を紹介するはずが(^^;,とんでもない方向に脱線してしまいましたね.ちょっとあまりに脱線しすぎなので後で編集し直して構成を変えるかもしれませんm(_ _)m.一応(^^;話の続きです.
あとはマズルカですかね.マズルカは,作品番号がついているものだけで49曲,その他遺作などを含めると60曲くらいあります.ショパンの作品の中ではポロネーズとともにとても重要な位置を占めます.技巧的には平易なものが多いですが,ポーランド独特のいわゆるマズルカ的な雰囲気を出すのは音が少ないだけに却って難しいです.余談ですが,数が多いワルツ,マズルカ,ノクターンは,例えば,Op.59のマズルカというように,作品番号で呼ぶことが多く,第何番という言い方はあまりしないように思います(私も第何番と言われてもぴんと来ません(^^;).
あとは,アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ, Op.22くらいでしょうか.これはオケと演奏されるバージョンもあるのですが,だいたいソロで演奏されます.それほどポピュラーではなかった(と思う)のですが,これもジメルマンがショパンコンクールで弾いて有名になった?ような気がします.ハラシェヴィッチの疑惑の優勝以来地元ポーランド人からショパンコンクールの優勝者を出すことは悲願?だったようで,ジメルマンが優勝した地元の熱狂ぶりもよく憶えています.驚いたのは,曲の最後に近づくところでアルペジオが駆けめぐるところがあるのですが,まだジメルマンが一生懸命弾いているのに(^^;観客が一斉に立ち上がって拍手を始めたことです.後にも先にもあんな「フライング(^^;」は見たことありません.
あとは,...もうこんなもんですかね(^^;.序奏とロンド, Op.16というのは,そんなに演奏される機会はない(と思う)ですが,これはホロヴィッツのもの凄い演奏があって,私は結構好きです.ボレロ, Op.19,タランテラ, Op.43,子守歌, Op.57は時々演奏されることもあり,ルービンシュタインも録音しています.2つのコンチェルトはともにとても重要で非常によく演奏されます.Op.10と25のエチュードは実はこれらの2つのコンチェルトを演奏することを目的として書かれたものなのです.
一応下に,作品番号がついているもののリストをあげておきます.細字がほとんど演奏される機会がないもの(含むピアノ曲以外)です.細字のピアノ曲が気になる人は(もうそこまで来ると,あなたはもう明らかに「入門者」ではありません(^^;),その3で紹介したアシュケナージの全集に入っていますので,それできいてみてください.それだけのために全集を買うのは勿体ない人はそういうマイナーものだけを集めたCDが出ています(私はそれで聴いた).
太字ははずせない作品,特に赤は,ポピュラーなものとそれほどポピュラーではないが重要な作品という意味です.ただし,ノクターンとマズルカは,どれが重要なのかよくわからない(^^;ので,あえて赤はつけませんでした.ただし,晩年の作品はどれも重要だと思います.例えば,Op.59のマズルカはとても重要な作品でアルゲリッチもよく取り上げて弾いています.アンプロンプチュの1番〜3番はバラードやスケルツォに比べれば演奏される機会は少なく,ポピュラーでもないのでただの太字にしときました.でもこうして並べてみるとほとんど太字か赤字ってことは,要は,初期のものと,演奏会用アレグロ, Op.46(もともとコンチェルトの3番として構想されたものらしい)以外はどれも重要ってことですね(^^;.でもエアポケットのように演奏会用アレグロがぽつんと1つ細字というのも妙な感じですね.
1 ロンド