■JMA観測点の強震記録【Updated】
■被害調査速報
主として,震度6弱以上を記録した強震観測点周辺の被害状況の調査,具体的には,地震動の性質と建物被害の対応関係について検討することを目的として,観測点から半径200mの円内の建物(駐車場,作業所,倉庫などは被害率算定の対象外,ただし調査は行う)の被害レベル,構造種別,階数の全数調査を行った.
・各観測点周辺の様子
■まとめ
今回の2008年岩手・宮城内陸地震では,非常に大きな震度,加速度を記録したが,地震発生直後に公開されたK-NETの強震記録を用いた解析結果によると,ほとんどの地震動が周期0.5秒以下の極短周期が卓越したものであった.一部3秒程度のやや長周期が卓越したもの(K-NET鳴子)もあったが,いずれも建物の大きな被害に結びつく1-2秒応答は小さいもので,建物の大きな被害は発生していないことが予想された.
そこで,現地に赴き,震度6弱以上を記録した強震観測点から半径200m以内を対象として,建物全数調査を行った.その結果,外装材の落下,屋根瓦のずれなどの軽微な被害を受けた建物はいくつか見られたが,全壊・大破といった大きな被害,あるいは,半壊・中破といった中程度の被害を受けた建物すら存在せず,解析による被害予測結果が確認された.
今回の2008年岩手・宮城内陸地震で発生した地震動は,極短周期が卓越したものがほとんどで,大きな震度,加速度が生じて人の体感は大きく,非構造部材の損傷,内外装材の落下,室内物品などの被害は出ても建物の大きな被害は発生しないという性質の揺れだったに過ぎず,同じ震度6強でも建物の大きな被害に結びつく,例えば,2007年能登半島地震のK-NET穴水のような地震動が発生すれば木造建物の全壊率は20%にも達するので,震度6強で被害があまり生じなかったからと言って決して建物の耐震性が充分なわけではないのは言うまでもない.
謝辞
今回の地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます.被害調査の際,現地の方々は被災されていたのにもかかわらず,快く応対していただき,様々な資料も提供していただきました.強震記録は,防災科学技術研究所,気象庁,鉄道総合技術研究所より提供いただきました.被害調査の準備,道路状況の調査,図の作成など研究室メンバーの支援を受けました.
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