■発生した地震動の性質(余震はこちら)
・前震: 2016/4/14 21:26 最大震度7 [震源深さ:約10km,マグニチュード:6.4]
被害推定結果
↑震度7を記録した益城町震度計から650m離れたKiK-net益城の記録を分析した結果,建物の大きな被害を引き起こす1-2秒の成分は,木造家屋が8%程度全壊するレベルで,東日本大震災の3倍,阪神・淡路大震災の半分程度であることがわかりました
・本震: 2016/4/16 01:25 最大震度6強(→7に修正) [震源深さ:約10km,マグニチュード:7.1]
被害推定結果
↑4/14 21:26に発生した地震より大きな1-2秒応答となっており,更に大きな被害が出ていることが推定されます.具体的には,KiK-net益城では,建物の大きな被害と相関のある1-2秒の成分が東日本大震災の5倍,阪神・淡路大震災の7割程度になっています
・本震(2016/04/16)で震度7を記録した益城町,西原村の自治体震度計による強震記録の性質
・益城町の本震の記録と阪神・淡路大震災,東日本大震災の比較 ■強震観測点周辺の被害調査速報
九州大学神野研究室と共同で大きな震度を記録した強震観測点周辺の被害調査を実施しており,まとまったものから順次公開しています.
データの集計ができたものについて,調査結果の速報値をお知らせします(あくまで速報値ですので,詳細な検討の後,値は修正される可能性があります).
観測点名 | 全建物数 | 木造建物数 | 全壊・大破 建物数 |
全壊建物数 | 全壊・ 大破率(%) |
木造建物 全壊率(%) |
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益城町宮園震度計※ | 174 | 149 | 76 | 75 | 43.7 | 50.3 |
KiK-net益城※ | 225 | 216 | 15 | 15 | 6.7 | 6.9 |
西原村小森震度計※ | 65 | 43 | 0 | 0 | 0 | (0) |
K-NET大津※ | 65 | 52 | 0 | 0 | 0 | 0 |
大津町大津震度計※ | 188 | 149 | 0 | 0 | 0 | 0 |
合志市竹迫震度計 | 8 | 2 | 0 | 0 | (0) | (0) | 菊池市旭志震度計※※ | 75 | 54 | 0 | 0 | 0 | 0 |
熊本中央区大江震度計 | 139 | 66 | 0 | 0 | 0 | 0 |
K-NET熊本 | 183 | 177 | 0 | 0 | 0 | 0 | JMA熊本※※ | 72 | 46 | 3 | 2 | 4.2 | (4.4) |
K-NET宇土 | 144 | 92 | 1 | 0 | 0.7 | 0 |
宇土市浦田町震度計 | 132 | 76 | 1 | 0 | 0.8 | 0 |
JMA上天草市大矢野町 | 85 | 59 | 0 | 0 | 0 | (0) |
宇城市豊野震度計 | 56 | 39 | 0 | 0 | 0 | (0) |
JMA宇城市松橋町 | 31 | 17 | 0 | 0 | (0) | (0) |
KiK-net豊野 | 15 | 10 | 0 | 0 | (0) | (0) | 嘉島町上島震度計※※ | 27 | 15 | 2 | 0 | (7.4) | (13.3) | K-NET矢部※※ | 182 | 136 | 0 | 0 | 0 | 0 |
※九州大学神野研究室との共同調査,※※九州大学神野研究室による調査 被害率で()が付いているものは,母数が少ないため参考値
半径200m以内の建物被害悉皆調査の結果,益城町震度計周辺の50%の木造建物が全壊していることがわかりました.同様に,ここから650m離れたKiK-net益城の木造建物全壊率は7%でした.益城町震度計の波形がまだ公開されていないので,正確な比較はできませんが(公開されました.詳細は下の方),KiK-net益城周辺は,1981年以降の新耐震建物が非常に多かったです.つまり,阪神・淡路大震災と同様に,新耐震以降の建物の被害率が旧耐震のものと比べて圧倒的に低い傾向が見られます.
発生した地震動の応答スペクトルを見ると,多くが極短周期地震動が卓越しており,その中で,益城町の2記録など1-2秒応答が大きいものの周辺の被害率が大きくなっていて,地震動の周期特性と建物被害の関係から説明できる結果となっています.