講義を効率的に進めるために,配付資料をmanabaにアップし,印刷,あるいは,ノートPC等に入れてもってきてもらって,それを使いながら講義をして行きます.配付資料は,必ずもってくるようにしてください.
何かあったらsakaixx@kz.tsukuba.ac.jp(xxを削除)まで連絡ください.
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私が担当する耐震工学特論の後半(第6週から第10週)では,地震による構造物の被害を再現する一自由度系を用いた非線形地震応答解析について講義で説明します.非線形地震応答解析プログラムを使いこなせるようになるとともに,振動学特論で作成した線形地震応答解析プログラムに等価線形化手法を用いた部分を付け加えて,等価線形化手法による非線形地震応答解析プログラムを作成します.等価線形化手法は,2000年の建築基準法の改正でも採用された,実用的かつかなり正確に弾塑性応答を推定できる有効な方法です.
最終的には地震動から構造物の被害が推定できる非線形地震応答解析プログラムというツールを自在に使いこなせるようになり,地震動の性質と実際の構造物被害の関係を把握し,簡便な被害予測,耐震設計ができるようになることを目標とします.
講義内容は次のようになります(数字は何週目にやる予定か).
・弾性から弾塑性,線形から非線形へ講義時間中に以下の演習を行う予定です.
1. 等価粘性減衰を求める式を導く(7)課題の内容は次のようになります(数字は何週目に出題する予定か).
0.一自由度系弾性地震応答解析を行うプログラムを作成(振動学特論で済)教科書を挙げておきます.
柴田明徳: 最新耐震構造解析, 森北出版.■課題の準備■
防災科学技術研究所のK-NETのホームページから波形をダウンロードできるように手続きをしてください.このページに入り,どれかの地震のどれかの記録をダウンロードしようとすると,メッセージが出て登録方法などが表示されると思います.
■課題1■
一自由度系非線形地震応答解析プログラムを使えるようになる.具体的には,ここを参照.
■課題2■
振動学特論で作成した弾性加速度応答スペクトルを計算するプログラムを基に,等価線形化手法を付け加えて,必要耐力スペクトルを計算するプログラムを作成する.非線形モデルは,Cloughモデル(等価粘性減衰の式は講義の中で紹介)とbilinearモデル(degrading bilinearモデルでα=0とすればよいとし,非線形モデルとそのパラメタ(Cloughモデル: α,β,μ,bilinearモデル: β,μ)は入力ファイルから読み込むような形にするなどして自由に変えられるようにする.
Cloughモデルの等価周期T'は,想定するRC造の降伏点までの周期の伸びを考慮に入れて
(μ: 塑性率,T: 弾性周期)
↑降伏点までの周期の伸びを考慮に入れて2*がついていることに注意プログラムができたら,課題1の一自由度系非線形地震応答解析プログラムSDFの結果と照合してみる(SDFでは周期を降伏点周期,即ち,上の式の2*Tで入力することに注意).そして,K-NETあるいは既往の強震記録を用いて違ったタイプの地震動の必要耐力スペクトルを比較し考察を行う.弾性加速度応答スペクトルとの違いについても考察すること.地震動の違いに加えて非線形モデルとそのパラメタの違いによる地震応答の違いについても考察をする.パラメタ(α,β,μ)を変化させる範囲は現実的なものになるように注意する(α=0.0〜0.5,β=0.01〜0.1,μ=1〜8).
ここで,K-NET,既往の強震記録以外にCOSMOSのサイトもここで紹介しておく.ここから強震記録をダウンロードして使ってもよい.登録も不要で世界の様々な地震の強震記録がダウンロードできる.検索機能もついている.
■課題3■課題2までに作成したプログラムに,建物耐力(ベースシア係数)と周期を簡便に求める方法と必要耐力から塑性率を求める方法を付け加えて,塑性率,塑性率スペクトルを求めるプログラムを完成する.そして,いくつかのケースについて,完成した等価線形地震応答解析プログラムの結果と非線形地震応答解析プログラム(SDF)による結果,あるいはNewmark's design criteriaによる結果を比較し考察を行う.比較する対象は塑性率でも必要耐力でもよい.これらの対応関係が建物や地震動が変わるとどう変わるかまで検討できればgood!
そして,建物の非線形および等価線形地震応答解析を行って考察を加える.対象は何でもよい.例えば,実在する建物(例えば,自分の研究室のある建物や自分が住んでいる建物など.ただしF棟は柱に鉄骨が入っているのでこれを考慮する必要あり),自分で設定する建物,耐震偽装された建物など.実在する建物は,平面図を簡略化して,スパン,断面寸法などをだいたいの値とし,Fcなど不明の情報は仮の値,例えばFc=240kgf/cm2などを用いてよい.
設定する建物(例えば10階建のマンション,3階建の一戸建て,30階建の高層ビルなど)は,まず建物用途などに従ってスパンと階高を設定する.そして,いくつかの地震動を想定し,自分が設定した塑性率(例えば2)に収まるように1階柱の断面寸法を決める.
そして,地震動や建物を様々に変えて地震応答解析を行い,地震動の性質と地震応答の関係について考察を行う.地震動は,K-NETなどから様々な強震記録をダウンロードして用いる.どの強震記録が実際にどの程度の被害を実際にもたらしたかは,
2003年宮城県沖を震源とする地震の被害調査速報などを参考にしてもよい.もちろんこれ以外の地震について自分で調べてもよい.課題1の強震記録FとKを使ってもよい.
■レポート■以上をまとめてレポートとして提出する.結果は,まとめて載せてよい.プログラムリストも載せること.レポートは,ワードなどの添付ファイルでメールにより提出する.〆切は7/6(金) 17:00とする.もし全部できなくてもできる範囲でやってレポートを提出すること.提出がなければ成績はつかない.