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2011年東北地方太平洋沖地震で発生した地震動と被害調査速報

 建物被害分布図,被害率を掲載しました【Updated on 12/6】

 地震の諸元 マグニチュード9.0,最大震度7

 発生した地震動の性質 (再作成版)
 多くの強震記録で1秒以下の短周期が卓越していて,地震の規模や震度の割には,建物の大きな被害に結びつく1-2秒応答はさほど大きくなく,1-2秒応答が大きかったK-NET石巻でも1995年兵庫県南部地震のJR鷹取の半分程度で,震度7のK-NET築館,震度6強のK-NET仙台,K-NET日立は,はるかに小さい(詳しくはこちら).

 追加公開された強震記録 【Updated on 4/14】

 JMA観測点で記録された地震動 【Updated on 5/19】

 地震動強さ分布と予想される揺れによる建物被害
 計測震度に対して,大破・全壊という建物の大きな被害に結びつく地震動の周期を考慮に入れた提案震度はさほどでもなく,今回発生した地震動が震度や地動最大加速度の割には,建物の大きな被害を引き起こす性質ではなかったが,被害は非常に広範囲に渡っており,また,人口が集中する仙台付近や石巻市,東松島市,大崎市などでの被害が目立ち,総計ではかなりの被害が出ていると推定される(詳しくはこちら).

 被害調査速報(強震観測点周りの状況) 【Updated on 4/14】
 事前の予想通り,震度6弱,6強,あるいは,7という非常に高い震度を記録したにも関わらず,周辺(半径200m以内)に建物の大きな被害は少なかった.最も被害が大きかった須賀川市八幡町震度計(強震記録未公開),次に大きかったJMA大崎市古川三日町(強震記録未公開,ただし,被害推定で被害が生じてる地域と一致)が,全壊・大破率にして数%程度で,それ以外は,全壊・大破建物はほとんどなかった.原因としては,発生した地震動が1秒以下の短周期が卓越しており,建物の大きな被害に結びつく1-2秒応答がさほどでもなかったことが考えられる.

 コメント3/15時点のコメントはこちら) 【Updated on 4/14】
 マグニチュード9.0,最大震度7という巨大地震であることから,震度6弱を越える観測点が非常に広範囲に渡って多くあるものの,そのほとんどは,1秒以下の短周期が卓越しており,建物の大きな被害に結びつく1-2秒応答はさほどでもない.今回の地震では,大津波により未曾有の大災害となってしまったが,震動による建物の被害は,マグニチュードや震度の大きさに比してそれほど大きくないと推定された.

 そして,大きな震度を記録した強震観測点周りの被害調査を行った.その結果,建物の大きな被害は少なく,事前の分析,推定通りであることを確認した.いくつかの波形が未公開の強震観測点周りで数棟の全壊・大破建物があったが,率にすると数%程度の被害であった.これらの強震観測点における波形が公開されれば分析を行う予定である.

 ※対象は,あくまで「震動による」構造物の倒壊などの被害です.津波によって甚大な被害が生じています.被災された方々には心よりお見舞い申し上げます.

 ※今回の地震で震動による大きな被害はないとしても,それは,地震動の性質,即ち,短周期地震動であったためで,建物の耐震性が充分であったということではないことに注意する必要がある.

 ※震度7を記録したK-NET築館は,2008年岩手宮城内陸地震の際に調査をしているので,設置状況が周辺の様子がこちらで見られます.より詳細は,JAEE論文集に掲載されています.

謝辞
強震記録は,防災科学技術研究所,気象庁,鉄道総合技術研究所より提供いただきました.また,観測点位置図はK-NET,KiK-netのページより転載させていただきました.

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