5/2'06
コンピュータの使用環境(8)
IMEの状態表示

 エディタやワードなどを使っているときにかな入力(全角)と英数字(半角)の切り換えってどうしてます?まさか全角で入力してF8押したりしてませんよね?私は変換キーにIMEのON,OFFをAltIMEで割り当てて切り換えています.ただ何度も切り換えていると今どっちの状態なのかわからなくなって右下のパレットに目をやってIMEの状態を確認していま「した」.でもいちいち右下の目をやるのって面倒ですし,私はATOKを使っていますが,いつの間にかウィンドウの後ろに隠れてしまってるようなこともあります.

 そこで,IMEの状態表示するソフトを時々探していたのですが,最近いいものを見つけました.ClockPodというものです.主な機能は「アクティブなウィンドウのタイトル部分に張り付き、時刻やバッテリ容量などを表示する、情報表示ソフトです」が,IMEの状態も表示でき色を変えることもできます.ウィンドウのタイトル部分に張り付くので嫌でも目に入りますし,ウィンドウの後ろに行くこともありません.

 ただ私の場合はどーーしても,右下に目をやる癖がついていて,今は結局右下に置いてます(^^;.でもウィンドウの後ろに行くことはないですし,サイズを大きくして目をやらずに視界の端に入れるような感じで使っているので,これで充分です.とても単純なことですが,こういうちょっとしたことで仕事の効率が大幅に向上しますし,ストレスレスに作業ができます.

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コンピュータの使用環境(9)
学会・プレゼン関係

 今日は2連発(^^;です.今回は学会やプレゼンで「使える」ものを紹介します.まずは学会タイマーです.これは,対象が一部の人に限られますね(^^;.

 学会で司会や座長をされたことがある方はわかると思いますが,1鈴であと2分,2鈴で質疑応答開始,3鈴で講演終了という感じで1人の講演者に対して3回ベルを鳴らさないといけなくて,時間を測るのって実は講演にあまり集中できなくて(質問がないと質問しないといけないからちゃんと聞かないといけないし)結構鬱陶しいんですよねー.それで私は最近はこの「学会タイマー」を使っています.ソフト自体は単に時間を3つ設定して,パソコンがベルを鳴らしてくれるだけですが,全然楽です(^^).もちろんノートパソコンが要りますが,自分の講演のパワポで使いますし,最近は梗概集もCD-ROMで配布されることが多いので,当然もってきています(というか私は常時ノートパソコンを持ち歩いています).パソコンの出す音はそんなに大きくないのでパソコンが「ピンポーン」といったらベルを「ちーん」と押せばいいです.似たようなものは他にもいろいろあるようですので,気に入ったものを使えばいいと思います.

 まあこれが普通の使い方だと思うのですが,T大建築の同期で首都大のY村さんが確か地震工学会でこんな使い方をしていました.彼は自分のノートパソコンでこの類のソフトを画面一杯に時間を表示させた状態で立ち上げて「よければご参考にしてください」と言って,くるっと講演者の方に向けたのです.昔からみょーなところに気が利く奴(^^;でしたが,ちょっと感心しました.

 ただ司会者がみんなそんなに親切なわけではありませんから,自分のプレゼンの時に時間を把握するのは結構重要です.私は最近は行きの電車の中でパワポ作成という感じなので,とりあえずしゃべり始めてしゃべりながら微調整するという感じなので,今何分中何分なのかを知ることはとても重要です.それで威力を発揮するのが発表者タイマーです.

 これはパワポのマクロでスライドの端っこの方に発表者しか見えないような大きさで時間を表示してくれるものでかなり重宝しています(こんな感じ↓).


 ていうか別に聴衆に見えてもいいですよね.字の大きさはもちろん変えることができます.ただ時々,プロジェクタの設定で端が切れる場合もあるので注意が必要です.まあこのソフトを使わなくても,パワポのスライドショーでも小さく表示できる単なるタイマーソフトを立ち上げておけばいいだけの話ですね.

 と思ってちょっと探したことあるんですが,これがなかなかいいのないんですよー.プレゼンテーションタイマーとかはそうなんですが,うーん,ちょっとデザインが...ていうかパワポ立ち上げて「と同時に」このソフト立ち上げて,というのも面倒ですよね.ということでやっぱり,「発表者タイマー」がいいなー,と思ったのを思い出しました(^^;.これが時間表示が右下,左下だけではなく動かせれば上で書いたような端が切れる場合にも対処できていいんですけどねー.

 ただ「発表者タイマー」にはバグ?があって,一度パワポを立ち上げて文字の大きさを変更して終了すると「プロパティの値が不正です」となってしまいます.iniファイルを削除すればまたちゃんと立ち上がるので,batファイルにしてランチャに登録しています.当然,文字の位置,大きさなどの保存した情報はなくなりますが,まあ時間を厳格に切られるプレゼンなんかしょっちゅうするもんでもないですし大した手間ではありません.

 あとポインタですが,ずっとロジテックのマウス型のレーザーポインタを使っていたのですが,もっとスリムなものが欲しかったのと,去年の地盤震動シンポでT大J研のM宅さんが緑色レーザーを使っていてとても見やすかった(プレゼンもなかなか上手かった)ので,緑色レーザーが欲しくなって(^^;,最近コクヨの緑色レーザーのポインタを買いました(^^).ちょっと高いですがとてもいいですよ.

 まあ緑色レーザーに拘る必要はないと思いますが(^^;,少なくともパワポのページめくり機能がついたレーザーポインタは私は必携だと思います.ポインタをもってノートパソコンのクリックボタンを操作して,場合によってはマイクをもつわけですから,クリックとポインタが1つのデバイスでできるのはとても楽ですし,講演時間が10分以下など非常に限られる場合は,これを使うだけで30秒くらいは時間を節約できると思います.

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5/4'06

 バドミントンのトマス杯・ユーバー杯が始まり,一昨日からSカパーで放送も始まりました.やはり同じ国際試合でも普段見ているヨネックスオープンなどとは全然雰囲気が違いますね.「日の丸をつけて」という表現はあまり好きではありませんが,少なくとも国を代表して試合をするのはそれだけでもすごいことです.

 頑張って欲しい,と書きたいところでしたが,男女ともベスト8で負けてしまったようです.男子は相手がインドネシアですからちょっと厳しかったと思いますが,女子はオランダ相手にまさかという感じですね.実質No.1の廣瀬のシングルを落としたのも痛かったし,小椋・潮田も負けたのではどうしようもありません.ドイツもベスト4に残ったようですし,勢力地図が変わりつつあるのでしょうか?この辺は実際に試合を見てから判断しようと思います.

 地元開催が逆にプレッシャーになったのかもしれませんね.バドミントンはそれほどメジャーな競技ではありませんから,地元の大声援を受けて(前売り券は完売だそうです)国を代表して試合することに慣れていない選手は多いと思います.

 ところで,初めて知った(^^;んですけど,トマス杯・ユーバー杯ってオーダーが決まってる(IBFランキング順)んですね.団体戦はオーダー勝負になることが多いのですが,これはそういうことを避けようということなのでしょう.でも逆にIBFランキングを操作する(国際試合に出なければランキングは下がる)ということにもなりそうな気がします(実際,現在のIBFランキングは廣瀬より森が上).

 先日やっていた卓球の世界選手権では,シングル5本で第1シングルと第2シングルを第4シングルと第5シングルに再登場させて対戦相手を入れ換えるというやり方をしていて(テニスもデビスカップも確かそんな感じになってる)なるほどと思いましたが,バドミントンではダブルスの比重も大きいですし,第一体力の消耗が激しくて2回登場はとても無理ですね.

 注目のラリーポイント制ですが,まだ何試合か見ただけですが思ったほど違和感はないですね.一般のレベルでもこれからラリーポイントになってくるだろうとの話です.ただ試合時間,特に,競る試合の長さが短くなるのは確実ですから,ますます打っていくような展開になるかもしれません.私にとってはどうでしょうか?私はとにかく繋いでミスを待つというスタイルですが,そういうスタイルとは対照的に(^^;,ファーストをあっさりとって,セカンドを競ってとられ,ファイナルも競ってとられるパターンがとても多いので,ひょっとしたら有利かもしれません(^^).

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 久しぶりにプーナに行ってきました.今年の3月まで筑波大の大学院にいて筑バドの練習に出ていたH間君が会社の寮が文京区ということで(話を聞くとどーも昔私が住んでたところの3軒くらい隣らしい(^^;),練習できるところないですか?ということでプーナを紹介したら今日も練習に来てました.

 折角,東京まで行ったんですからトマス杯・ユーバー杯を見に行けば?てなもんですが,やっぱりスポーツは(音楽同様)観るものではなくてするものということですね.どんなに重大な(^^;スポーツイベント,例えば,これに勝てば日本がワールドカップ出場とか,ライオンズが日本シリーズやっててこれに勝てば優勝なんてことがあっても練習があれば練習に行きましたし,これからもそうするでしょう.

 でも丸沼のコブを滑ったときに捻った感じがして,今度は左膝が痛いです(T_T).行ってもできるかどうか不安だったんですが,行けばやるもんですね(^^;.でもS井さんとシングルやって何とか2−0で勝ちましたけどめちゃめちゃ疲れました.しかもやっぱ左膝がめちゃめちゃ痛い(T_T).こりゃまた保健センター行くしかないか.でも連休明けになっちゃいますね.

 昨日,トマス杯・ユーバー杯で審判をやったK村さんにきいたらオランダは帰化選手が結構いたそうです.それでも普通にやれば負ける試合ではなかったそうです.

 大きな試合の審判って資格が必要で誰でもできるもんじゃないんですけど,なんでわざわざ資格取ってまで審判やるのかなーって思ってたんですけど,考えてみたら審判って試合を見るのに最高のポジションですよね.どこかで書きましたが,バドミントンって上から見るのと同じフロアレベルで見るのでは全然迫力が違います.

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5/7'06

 ようやく長い長いゴールデンウィークが終わってほっとしています.こんなことを書くと怒られるかもしれませんが,私はゴールデンウィークが好きではありません.いや,はっきり言って嫌いです.私の仕事はある決められた勤務時間に仕事をすれば給料がもらえるという類のものではないので,休めばそれだけ後で苦しくなるだけですし,逆に仕事をすれば後で楽になります.ですから「世間が決めた休み」は私にとって全く意味がありません.世間が休んでいるときはどこに行っても混んでいるので,そういうときは休まず,平日に有給を取って出かけたいのですが.それだといっしょに遊んでくれる人がいないので(^^;,ゴールデンウィークはだいたいスキーに行っています.でも今年は地震工学シンポの〆切があったので,だいたい仕事をしていました(学生の論文のチェック(^^;.5編もあり今回は審査論文なのでかなり大変.).

 実はゴールデンウィークに限らず,普段の週末も私はあまり好きではありません.調子を崩すのもだいたい週末です.一週間の中で一番好きなのは月曜の午前です.感覚としては大手を振って?仕事ができるという感じですかね(変?).まあ何だかんだ言って仕事人間ってことですかね.

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 バドミントンのトマス杯・ユーバー杯も終わりました.予想通り男女とも中国が圧倒的な強さで優勝しました.結局1ゲームも落とさなかったんじゃないですかね.昨日の女子決勝は見逃しましたが(そのうちSカパーでやるでしょう),男子の決勝をやっていたので論文の校正をしながらちらっとだけ見ました.なんかすごすぎて全然違うスポーツみたいですねー(^^;.

 まず驚いたのは打球音です.鉄板(^^;?しかもあれだけ堅く張っていてほとんど腕先だけでシャトルを思うところにはじき飛ばす腕力?は信じられないです.筑波大バドミントン部にいた早坂(現,日本ユニシス)のラケットを借りて打ってみたことがあるんですが,堅すぎて全くシャトルを飛ばせませんし,それをコントロールするなんてとてもとても.早坂のラケットでもガットの張りの強さでラケットのフレームが陥没しかかっていたのですが,あれより堅く張るなんてことは想像を絶しますね.

 ラケットワークもそうですがフットワークもめちゃめちゃ速いです.それも歩いているように自然に動くので速いのに速さを感じさせません(平たく言うとコートが狭く見える.めちゃめちゃ広いのに...(^^;).スマッシュを打つまでの繋ぎのショットもほとんど隙がなく,ちょっと甘くなってたたき込まれるか仕掛けてミスをするかでラリーが終わるという感じですね.

 シングル世界ランク1位のリン・ダンのプレーは初めて見ましたが,サウスポーで全てのショットにフェイントがかかっていて結構粗いプレーでミスも多いのにいやらしくてあれじゃあほとんどつけいる隙がないですねー.点数的には競ってましたが,ピーター・ゲードは,リン・ダンのフェイントになんとかついて行っているという感じで,リン・ダンには相当余裕があるように見えました.当分は中国の黄金時代が続くんでしょーねー.

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5/8'06

 なんとか地震工学シンポの論文を出し(出させ)ました.大学院生には原則みんな出してもらったので全部で5編です.今回は審査論文ですしボリューム的にも建築学会大会の倍以上なので,全員の分をちゃんとチェックするのは結構大変でした.私は5編の論文をチェックしていますが,学生側にしてみれば私1人が相手なので,がんがん質問や校正原稿を送ってきます.ちゃんと面倒見るには今くらいの人数が限界ですかねー.でもこれでやっと次の段階(新しい今年度の研究テーマ)に進むことができます.

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5/9'06

 ここに書いたことがあったのですが,さすがに公開するのはやめました.どこかで書きましたが,このコーナーに書いていることは私の考えていることのごく一部に過ぎません.特にネガティブなことは書きたくても書けないのが現実です.こういうことを書いていること自体どういう意味があるのかということもありますが,あとで振り返って,あーそういう日もあったな,と思い返せるようにしておくのもこのコーナーの目的の1つなので(他の方にはわからないでしょうが),こういう形でとりあえず書いておこうと思います.

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5/10'06

 録画したトマス杯・ユーバー杯のビデオをぼちぼち見ています.あまりにも自由自在に動き,シャトルを飛ばすので,ほんとにバドミントンが簡単に見えてしまいますが,もちろんそんなことはありません(でもバドミントンをやらない人が見たらほんとに簡単に見えるでしょうねー).

 一番驚くのは一言で言えば「スピード」です.もちろん単にスマッシュが速いとかフットワークが速いなどのスピードもありますが,このレベルまで来ると単なるスピードではなく「球際のスピード」がすごいです.バドミントンは,はっきり言ってそのスピードは人間の反応時間の限界を超えていますので,ある程度球が読めなければ勝つことはできません.逆に言うと読まれないように如何にフェイントをかけるかと,それを如何に読むかの勝負とも言えます.

 そしてフェイントをかけるのに必要なのが,ショットを打つ際に,その場所まで如何に速く移動するかの「スピード」,そこで「動きを一度止めて」ショットを放つ際の「球際のスピード」です.前者のスピードがあるほど止まっている時間が長く,フェイントのヴァリエーションが広がり,後者のスピードがあるほど相手に判断の時間を与えないので,フェイントがかかります.

 レシーブ側にも同じことが言えます.如何に速くホームに戻って態勢を整えて相手をしっかり観察してタイミングを合わせられるかがとても重要で,0.1秒でもタイミングがずれれば1歩も動くことができません.そして,これらを支えるのはやはり「合理的な動き」と「フィジカルの強さ」になります.阿部先生がよく「フィジカルを強くするのが手っ取り早い」と言われていたのを思い出します.

 筑波大に来てからいろんな練習方法を試してきましたが,はっきり言って調子は全然だめです.実際,そこそこの結果が出ていた全日本教職員や県大会(都大会)での成績もこっちに来てからはさっぱりです.その大きな理由の1つはやはりフィジカルのトレーニングが減ってしまったことでしょう.最近は「合理的な動き」の探求はしていますが,怪我したり,特に今年の冬場は準指に賭けたこともあり,フィジカルのトレーニングをほとんどできませんでした(まあ一番大きな理由は仕事が忙しすぎることでしょうが).怪我が増えた理由もトレーニング不足でしょう.

 最近ほんとバドミントンそのものがしんどくて,バドミントンという運動がこの歳の割りに激しすぎるのは明らかなので(もともと30でやめて別の種目に変えようと思っていたくらいですから),その辺も含めてどうするのか考える必要がありそうです.いずれにしても,こうしたら強くなれるのではないか,と思うことをせずにやめるわけにはいかないので,もう全日本教職員まで3ヶ月しかないですし,トレーニングを再開したいと思っています.でもまずは怪我を治すことですかね.

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2つの幸せ

 幸せには2つの種類があると何度か書いてきました.普遍的な幸せと特異的な幸せ,言い換えると,人と同じことをすることによって得られる幸せと人と違うことをすることによって得られる幸せでしょうか.一般には前者の幸せが近道なので幸福論などでは主としてこちらを追求してきました.もちろん幸せの本質は前者にありますし,そっちの方が手っ取り早いので幸せになりたい人はそちらを目指すのがいいと思います.

 私はどうかというと,ここでもとても思い悩んでいます.向こうとこっちとどっちに行くかということです.もちろん選手と観客とどっちになるかと言っても選手には誰でもなれるわけではありませんが,これは実際に選手になるかどうかではなく,選手になることを目指すことで幸せになれるという意味で全ての人が対象になります.あるいは,少なくともほとんど(全てではない)の仕事は世の中の役に立っているわけですから,その分野でほとんどの人が選手,あるいは,選手を目指していると言うこともできます

 しかし,仕事であればしんどいことも多いですし,レベルが上がれば上がるほどしんどい思いをするので,そんなことならもっと適当に手を抜いてのんびりやれば?という考えもあるでしょう.でもまあこれも手を抜こうと思って抜けるものでもないですし,全ては150億年前に決まっているので(これに関してはその後いろいろ微妙に考え方というか表現が変わってきました.そのうち書こうと思っています)自然の流れに身を任せてやっていくしかないですね.つまり「何かが私を動か」せば動かざるを得ないし,やりたい,やらねばならないという衝動にかられればやる,私がそういう役回りであるならその役を果たす,ということだと思います.そして,少なくとも今取り組んでいる仕事に関しては,その分かれ道が迫っているような感じはします.

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 今月号の建築雑誌の最初の方の対談みたいなところにTH大のM田先生とT工大のY田先生が出ていたので思わず読んでしまいした.震度と建物耐力の話(基準法の0.5倍で震度5強で倒壊すると言えるのかという話)も出てましたね.これに関しても当然私なりに思うことはあるのでそのうち書こうと思っています.でも一番興味深かったのはY田先生が研究を「面白いわけない」と言い切って?いたところですね.彼の仕事(研究)に対するモチベーションは使命感のようです.やる気三要素的に言えば内的熟達より人との繋がりということになります.私も最近はそんな感じでなんとか頑張ってる感じなのでちょっとほっとしました.でもやっぱり正直言うと私は面白さを追求したいです.それに彼はまあ面白くても面白いとは言わないようなところが昔から(昔は)ありますからねー.話半分にきいておくことにします.

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5/14'06

 とにかく体調が悪いです.こんなときに限ってものすごい「雑事」の多さです.地震工学シンポを出して(出させて)やっと次の段階(新しい今年度の研究テーマ)に進むことができますと書きましたが,何人かと打ち合わせをしただけです.私の方も今年こそは溜め込んだテーマを一気に論文にはき出したいと思っているのですが,いつ手をつけられるか全く目処も立ちません(T_T).

 学生の方には何が目的で何をやればいいのかはだいたい話しているので自分で考えてどんどんやってくれればいいのですが,言われたことはやるが自分でやることを考える学生は少ないです.先生が忙しすぎてあまり面倒を見てくれない,というのが如何に恵まれた環境であるかがわかってませんねー.私が学生の時も同じような状況でしたが,その分自分の思うようなことを思う存分できました.

 体調が悪くても練習には何とか行っていますが(怪我の方は何とか大丈夫のようです.ていうか痛みをかかえたままという感じですが),疲れ方も尋常ではありません.考えてみれば筑波大に来て2年くらいは週2,3回は筑波大バドミントン部の練習に出て何とかついて行っていたのですが,今ではとても考えられませんし,第一そんな気にすらなりません.もうほんとにしんどくなってきました.

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 最近あまりに体調が悪いので,今日から試しに,ここ15年くらい毎日続けていることをしばらくやめてみようと思います.とりあえず1ヶ月くらい.効果があったら1ヶ月後に何かはお知らせ?します(散髪ではないよ(^^;).

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5/15'06

 こんなことがありました.J工学シンポジウムの編集委員というのをしていて(見る人が見ればJが何かはわかるとは思いますが,別にまあ問題ないですよね),私が担当している部門に,とある研究グループからものすごい数の論文が投稿され,それ自体はとても歓迎されるべきことですが,その分野は近年急速に研究者の数が拡大している分野で,逆に言えばまだ査読を任せられるレベルの研究者が少なく,当然大量の論文を投稿したグループからは査読者を選べないので,査読者の選定は困難を極めました.ほとんどの部門でその日の編集委員会で査読者の割り当てが完了した中で,私の部門だけ(しかも当日来ていたのは私だけ)が全く目処すら立たず,茫然と「仕事を持ち帰り」ました./P>

 どうしようもなくなり,他部門からこの人くださいとか,編数を減らしてもらって1回分だけもらったりしてかき集めたり,あらかじめ準備されたリスト以外から私の知る範囲で泣きつきのメールを直接出したりしました.いろんな学会で編集委員をしてきましたが,こんなに苦労したのは初めてのことです.ただ,大変ありがたかったのは,ほとんどの人は事情をわかってくれて急な話にも関わらず引き受けてくれたことです.でも中にはそうでもない人もいて(あとからメールが来て実は事情がよくわかってなかったようなのですが),こういうときに態度が分かれるのは興味深いというか,逆にとても怖いなーとも思いました.

 私は「困った人がいたら助ける」は大原則だと思っています.逆に言えば自分が困ったら遠慮なく助けてもらっていいと思います.もちろん自業自得という場合もあるとは思いますが,「困り果てて」いたらとりあえず助けるべきだと思います.私の地震研時代の恩師で亡くなられた南先生もよくそうおっしゃっていました.

 もちろん編集委員なんかボランティアでやってるようなものなので,自業自得でもなんでもなく「私が困っている」というのも変な話で,少なくとも論文を投稿しているような人はこっちが困って査読を依頼してきて断るなんていうのは筋違いも甚だしいのですが,まあこういうことはよくあることで,正直気分はかなり害しますが「以て他山の石」と思えば気分の悪さもいくらがおさまります.つまりやや話を広げると「人の道」に反した人に直面したら自分はそうならないようにしようと思いましょうということですかね.

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5/16'06

 「お年寄りを大切にしましょう」って言いますよね.まあ当たり前のことですが,なぜ?ときかれたら明確に答えることができますか?人生を長く生きてきた先輩に対する敬意とか今の世の中があるのは彼らのおかげとか,にもかかわらず,体力的には衰えてきて社会的には弱い立場だからとかいろいろあるでしょう.後者は「困った人がいたら助ける」は大原則に通じるものもあります.

 自己中心至上主義的にはこう考えることもできます.誰しも必ず歳をとります.もし自分が歳をとって老いぼれたとき,邪険に扱われるような社会だったら嫌ですよね.だからそのときの「自分のために」お年寄りに敬意を払い,大切に扱う社会を作っておく,という考え方です.これは,情けは人のためならずと同じ考え方です.「私を含めた健常者もいつ病気や怪我で身体障害者になるかわからず,万が一不幸にしてそうなってしまったときでも,気分よく生きていける社会にしておくことは健常者にとっても重要なことであり,保険のようなもの」と書きましたが「歳をとる」ということに関しては「万が一」ではなく100%そうなるもの(多分(^^;)ですからね.

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 Windows(CEではなく)を登載したモバイルPCを待望しているのですが,SONYからVAIO typeUの新製品が発表されましたね.重量520gはシグマリオン並ですし,キーボード登載というのが嬉しいです.ただ見た感じは両手の5本の指でタイプは厳しそうですね.バッテリ駆動3.5時間というのもモバイルPCとしてはアウトでしょう.ただ,7月にHDDの代わりに16GB!のフラッシュメモリーを登載したものも出るようです.これの駆動時間がどの位になるかですねー.でもSONYですから媒体がメモリースティックなんですよねー...

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5/18'06
望みがない

 篠原涼子さんが主演した「anego」というドラマが再放送されていました.まあ私は普段テレビドラマはほとんど見ないのですが,このドラマは,「仕事ができて,人望があって,女性としてもとても魅力的で,でもなぜか行き遅れたキャリアの女性」というとても気になる人物像がテーマで,かつ,そういう人は実際にも沢山いるだろうなーとも思ったので,昔放送されたときちらっとだけ何回か見たのですが,最後どうなったか知らなかったので最終回だけ(^^;ちょっとチェックしました.

 主人公の野田奈央子(篠原涼子)がつき合っていた人とも別れ,それが原因で会社も追われ,最後に出社した日の帰りにこうつぶやきます(ちょっと正確には憶えていないが).「私は全てを失いました.(中略).幸せになりたい人がいたら望みを叶えてあげるのではなく,望みを減らしてあげることを考えなさいと,詩人の○○は言いました.私は結婚したかった.でも結婚したいという望みを捨てることで...(後略)」

 どうですか?私はそうは思いません.この考え(詩人○○の考え)は,「幸せは望みが叶えられること」ということですよね.でも悲しいかな望みはなかなか叶えられない.だから,望みを減らすことで幸せになりましょうということです.私の考えは全く逆です.「こうありたい」「こうなりたい」という望みがあれば,それだけで幸せですよ.つまり「幸せは望みがあること」ということです.

 今の世の中,幸せを感じられない人が多いのは「望みが叶えられない」からではなく「望みがない」からではないでしょうか?「望みがない」というのは,「望みが叶えられない」というのとは全く逆で,「望みが叶えられてしまったから望みがない」ということです.例えば,高度経済成長期はみんな生活は苦しくて,もっとお金を稼いでもっと楽な暮らしがしたいという「望み」があったので,多くの人は幸せだったと思います.実際に「望み」が叶えられるかどうかが問題ではなくて,頑張って働けば少しは楽になるかもと思える,ということがポイントです.今はどうでしょうか?別にそんなにしゃかりきになって働かなくても普通に生活はして行けますよね(それなのに何でこんなに忙しいんだ!?).別に大それた(^^;ことを望まなければ,今の状態で充分で,余計な苦労をするくらいなら特に望みはないという人はとても多いのではないでしょうか.フリーターが増えるのもある意味自然な流れです.

 有名になりたい,大金持ちになりたい,出世して偉くなりたい,ノーベル賞をもらいたい,プロ野球選手になりたい,などという「望み」がもてる人は幸せな人です.正直,羨ましいです.望みが叶うか叶わないかは関係ありません.望みに向かって頑張れることが幸せなのですから.ほんとはお金なんか欲しくなくても,お金が欲しいと思い込むことは「幸せになる技術」と捉えることもできますし,そういうことを実践している人もいるでしょう.でも同じ思い込むんだったら,「自分は幸せだ」と思い込んだ方が手っ取り早いですよね(^^;.世界全体に目を向ければ自分より不幸だと(勝手に)思える人はいくらでもいます.平穏無事で住むところがあって毎日ご飯が食べられるだけも幸せと思えれば幸せです.そしてそれが幸せの本質でしょう.幸せとは現状に満足することなので,現状に満足さえできれば誰でもいつでもすぐにでも幸せになれることもこのコーナーで何度も書いていることです.

 私も今は特に「望み」はありません.昔はありました.それは自分がこれだと思ったことで食べて行けるようになることです.ですから,望みを叶える前まではとても幸せでした.でも望みを叶えてしまうと不幸になりました.まあどんなに頑張っても望みが叶えられないのも不幸でしょうから,同じ不幸なら望みを叶えた不幸の方がまだまし?とは言えるかもしれませんが(^^;.

 ただ,「私も今は特に「望み」はありません」と書きましたが,実は1つだけ「望み」があります.それはこのコーナーで再三書いていることですが,「気分よく生きていくこと」です.つまらない人生ならさっさと自らやめてしまうという選択肢は常にありますが,現実にはそうは行かず,しょうがないので生きていく.でも,どうせ生きていくのなら楽しい方がいいに決まっています.それは誰しもそうでしょう.

 「有名になれば,大金持ちになれば,出世して偉くなれば,ノーベル賞をもらえば,プロ野球選手になれば」気分がいい人はそれを目指せばいいと思います.私はそういうこと,あるいは,そういうことを目指すことでは気分よくはなれない,というだけのことです.そして,そういう人は今の世の中結構いるのではないか,と思うのです.そういう人はどうしたらいいのでしょうか?

 これもこのコーナーで書いてきましたが,1つはプログラムに従うことだと思います.人間は仕事をすることによって,つまらない人生の退屈しのぎをするように,仕事をすると快感を感じるようにプログラムされています.幸福論で書いたように仕事が辛ければ,その分,ひと仕事を終えたときの気分のよさは格別です.人間は1人では生きていけません.家族と過ごすこと,いっしょに協力して仕事をしたり,仕事の後(別に仕事の後でなくてもいいが)飲みながら話をすることなどは何事にも代え難い気分のよさでしょう.

 こういう何気ない日常生活の中に気分のよさを求めていくことだと思います.私も希望は特にありませんが,気分よくは生きていきたいです.で,気分よく生きて行くにはどうしたらいいかと考えたら,なんだかんだ言って仕事をした方が気分がいいし,結局,その日その日をちゃんと「生活していくこと」だと思います.つまらない人生に失望して,これから何十年もどうやって生きていこうかと途方に暮れることもしばしばですが,その日その日をしっかり生きて行くしかないと気を取り直す毎日かもしれません.

 「anego」の中でも,アネゴ(篠原涼子)を慕う黒沢明彦(赤西仁)がモンゴルに飛ばされ,彼がモンゴルからアネゴに送った「モンゴルでは時間がゆっくりと流れています.そのゆっくりと流れる時間の中でその日にできることをやっていこうと思います.」というメールにアネゴが励まされる,という場面があるのですが,これは同感ですね.ただ残念ながら,私の場合「ゆっくり流れる時間の中で」には程遠い(T_T)ですが,その日にできること,やるべきことを淡々とやっていくことだと思います.

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 VAIO typeUの新製品ですが,ザウルスのWindows XP搭載版と言った感じですかね.つまりはパソコンというよりは高性能なPDAか.実際に触ってみないとなんとも言えませんが,両手5本指でブラインドタッチできないのはきついですね.両手5本指で入力したかったらノートパソコン使え,ってなもんかもしれませんが,例えば東京に行くとき鞄にノートパソコンとtypeUと2つ持っていくのはちょっとしんどいです.何がしんどいかというと重くてがっちゃがっちゃするということもありますが,例えば会議ではノートパソコン使って,電車の中ではtypeUを使うとするとその同期をいちいちしないといけないということです.大亀子亀が更に大亀中亀子亀(^^;となってしまいます.

 私の希望(^^;は,シグマリオンのWindows XP登載機(のようなもの)です.机や膝(+化学式ノートPCクーラー)の上に置いて両手5本指での入力にも充分耐えますし,電車の中で立っていてる状態での親指入力もOKです(実は筑波大の公募に応募する書類はほとんど確か4月くらいに野沢にスキーに行く電車の中でシグマリオンで書いた(^^;).更にタブレットPCにもなるように液晶がくるっとひっくり返って欲しいです.

 R3は立った状態での親指入力はOKなのですが(それを確認して購入した),マウス操作が厳しいです.親指入力では当然キーカスタマイズしたコントロールキーを使った操作は使えないので,マウス操作が多くなるのです.シグマリオンはタッチパネルになっているので,人差し指で触れることでマウス操作ができました.

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 UEFAチャンピオンズリーグはバルセロナが勝ったようですね.実は,決勝がアーセナルvsバルサになったとき,どっちが勝っても久々にビッグクラブが,そして,スーパースターが日本に来ることになるんだなとは思いました.アーセナルならアンリ,バルサにはロナウジーニョがいますからね.去年,一昨年は,リバプール,ポルトでしたからね.オーウェンがいなくなったリバプールにもジェラードはいますが(バルサにはエトーも),まだスーパースターとまでは...(なりつつあるとは思いますが).アーセナル監督のベンゲルも名古屋で監督をしてたこともあり,昔は日本代表監督待望論もあったくらいですから,日本でも知名度は高いですよね.

 チャンピオンズリーグが終わると次はやはりワールドカップということになりますね.でもあれから4年ですかー.まだ東京にいたんですよねー.今T大J研にいるS田が結婚式を挙げたその日に日本がベスト16進出を決めて,仲人をされたK先生が「今日は目出度い,なぜなら...」と話されて(^^;「でもこれでワールドカップが来る度に今日のこの目出度い日(こちらはS田が結婚して目出度いという意味(^^;)を思い出すでしょう」と話されたのをほんとに(^^;思い出しました.あのときは今世界最高のプレイヤーと言われているロナウジーニョもブラジル代表では下っ端で,センターライン近くからゴールにぽーんって蹴ったボールが偶然?ゴールに入って,でも本人は狙ったと言い張ってたような感じでしたからねー.

 私はどんな感じで過ごしてましたかねー?確かもう筑波大の公募の書類は出していて,そうそう確かJCIがつくばだったので,下見ついでに泊まりでつくばにステイ?して,ホテルで自転車を借りて,つくばに来て自転車で生活できるかどうかを確認するために(当時はまだ免許をもってなかった)自転車で筑波大まで行って,こりゃだめだということを確認したりしてましたね(^^;.建研や筑波大のメンバーが中心となって仕切っておられましたが,やっぱりワールドカップで盛り上がっていたと思います.そうそう山本先生が実行委員長でした.山本先生も来年3月で退官されます.

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 人生所詮退屈しのぎですが,なんて後ろ向きな考えだ!ととても評判が悪いことが多いです(^^;.でもちゃんと説明すれば,実はとても前向きであることがわかっていただける(のかな?)のですが,先日,確かNHKのなんかの番組ではてなを作られた近藤淳也さんが「人生は大いなる退屈しのぎ」と言われていて,そのときは,とても共感を集めていました(^^;(まああんまり共感を集めるのもベストセラー同様,気持ち悪いですが).主旨は「人生所詮退屈しのぎ」とだいたい同じなのですが,ちょっとした言い方の違いですかね.でも私にはやっぱり「退屈しのぎ」の方がしっくり来るなー.一度全否定しておいて,そこから始めるというか,それでもと開き直るような感じのところが好きです.

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5/20'06

 N工大U先生とのメールでの哲学論議ですが,まだ続いています(^^;.多分永遠に(どちらかが死ぬまで)続く?いろんなことが話題になっていますが,その中の1つに「全ては150億年前に決まっているか?」があります.まだ議論中なのですが,私の哲学(^^;にとってとても重要なので途中経過みたいな感じでちょっと書いておこうと思います.

 まず不確定性原理ですが,これは実験事実なので否定しようがありません.ですから「全ては150億年前に決まっていない」ことになります(あっさり(^^;).しかし,不確定性原理は量子力学というミクロの世界の話なので,我々が関係する,例えば,あなたが何歳まで生きるか,明日何時に起きるか,誰と結婚するのか誰ともしないのか,現在の世界情勢がどうなるのか,人類が後何年で滅亡するのかは,マクロの世界の話です.マクロの世界ではニュートン力学がほぼ成り立つので,全ては(だいたい)決まっていることになります.

 ビッグバンが果たしてあったかどうか,150億年前に起こったのかどうかは関係ありません.なぜなら,例えばほんの1秒前のことは全て確定しているので,それを一種の初期条件と見なせば,1秒後の現在は確定しているからです.同様に1秒後も,明日も,100年後,100億年後も確定していることになります.

 問題は,ミクロの世界からのマクロの世界への「染み出し」があるかどうかです.もしミクロからマクロへの「染み出し」があれば,マクロの世界でも「全ては150億年前に決まっていない」ということになります.これが今議論になっています.有名なシュレディンガーの猫実験(ある場所で電子が見つかったら猫を殺す.違う場所で見つかったら殺さない,という実験)があります.これはミクロの世界からマクロの世界への染み出しを簡単に行うことができる,という例ということになっていますが,どーもこれが怪しいと私は思っています.なぜなら,猫実験をしている人間の行動はマクロの世界の話だからです.それで「ミクロからマクロへの染み出し」と言えるのでしょうか?

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私が好きな曲
(1)バッハの場合

 新シリーズ?というわけではないのですが,こんなタイトルでしばらく書いてみようと思います.クラシック音楽入門がなんかショパンで止まってしまっているので別の角度からいろいろ紹介したいというのもあります.

 よく好きな作曲家は誰ですか?ときかれるのですが,返答に困ってしまいます.この作曲家のものならだいたい好きというわけではありませんし,この作曲家の曲はほとんど好きな曲はないけどこの曲だけは好きという場合もあるからです.ここで書いたように近現代ものが好きということはありますが,じゃあ近現代ものの中で誰が好きかときかれても結構返答に困ります.ということでこんなタイトル(「私が好きな曲〜の場合」)にしました.

 第一段は(順当に?)バッハです.と書いておきながら,実は私はバッハがあまり好きではありません(^^;.ですから,膨大なバッハの曲のおそらくごく一部しか聴いていないと思います.実はそういう人は結構多いと思うのですが,誰が言ったかは忘れましたが「バッハをまだ聴いていない人は幸せである.なぜなら,これから壮大な楽しみが待っているのだから」というようなことを言った人がいたと思いますが,そういう意味では幸せなのかもしれません(^^;.

 私がピアノのレッスンで弾いたモーツァルトやベートーヴェンに始まり,ショパン,ロマン派→ドビュッシー,ラヴェル→近現代ものというように,それこそ新しい扉をどんどん開けるように「開拓」をして行ったという話はこのコーナーのどこかでしたと思いますが,バッハはぽつんと取り残されたような感じでした.もちろんバッハにはどういう曲があるのかなと思っていくつか聴いてみたりはしたのですが,中学生くらいの私にはどーにもつまらなかった.どれも同じような感じだし,ダイナミックじゃないし(そりゃバッハの頃はまだ強弱がつけられるピアノがない時代だからしょうがないが),その割りに「声」が独立で弾きにくいという印象がありました.

 しかし一度だけ「おっ」と思ったことがありました.確かFMを付けていてとても躍動感がある楽しい曲が流れていました.でも聴いた感じはバッハでした.「へー,バッハにこんな曲もあるのか」というのがその時の印象です.曲はイギリス組曲第4番のプレリュードで,演奏はグレン・グールドでした.確かグレン・グールドがバッハのクラヴィア曲を次々と録音しているときで,イギリス組曲全6曲を録音したばかりのことだと思います.ですから私が中学生で,もう30年くらい前の話ですね(^^;.

 LPはすぐ買ってきました.確か4番のプレリュードでA面が終わっていたので,そこのところばかり何度も聴いた(^^;と思います(そのうち音飛びするようになって聴けなくなった(T_T)).イギリス組曲の特徴の1つに最初のプレリュードがとても大規模でかなり気合いが入っているということがあります.4番以外のプレリュードも好きです.確か私がT大ピアノの会に入って「新歓」でプロコフィエフの第6ソナタを弾かされた次の週かなんかに,1つ先輩で当時会長をしておられたU嶋さん(現T大J研(^^;)が3番のプレリュードを弾かれて,「バッハのイギリス組曲のプレリュードが好き」と言われていたのを思い出しました.私も2,3,4,5番のプレリュードは好きですねー.

 バッハのイギリス組曲のプレリュードが好きというよりは,そのグールドの演奏が好きということだったかもしれません.それほどグールドの存在は,ことバッハに関しては私にとって特別でした.グールドがいなかったらバッハに興味をもつことすらなかったと思います.当然LP(^^;も全部もっています.というか当時はピアノでバッハを弾いたLPはほとんどなかったと思います.唯一記憶にあるのはリヒテルの平均律で,父の書斎にあったのですが,聴いても別に何とも思いませんでした.イギリス組曲以外では,ゴールトベルク変奏曲も好きですし(この曲はグールドが唯一2度録音していますが,私は最初の方のものが断然好きです),パルティータ5番のプレリュードトッカータの3番フランス風序曲のフィナーレ(エコー)も好きです.

 でもこうして書いてみるとやっぱり数多いバッハの曲の中でも好きな曲はごくごく一部ですね(^^;.逆に言えば,あなたがバッハのなんかの曲(だいたいはポピュラーなよく聴く曲)を聴いてあんまり面白くないなー,と思っても丹念に探していけば,好きな曲はあるかもしれないということです.そしてそういう曲はクラシック音楽入門で書いたようにポピュラーな曲でないこともしばしばです.

 こうして偶然にもグールドの弾くイギリス組曲第4番のプレリュードに出会うことができ,かなり気に入りましたが,どういうわけか自分で弾いてみようとは思いませんでした.理由はよくわかりませんが,上記の「新規開拓」の方に一生懸命だったのでしょう.ただ,大学3年の時のT大ピアノの会の五月祭の演奏会で,ブゾーニが編曲した有名なシャコンヌは弾きました.でもこの時は,建築学科の製図が大変で全然練習できなくてぼろぼろでしたねー.のちにプロになられたK合さんに「調子悪かったねー」と真顔で言わました(^^;,でも「そっか,ということはほんとはもっと上手いと思われていたんだ」となぜか嬉しかったのを憶えています.

 しかし,バッハを練習せざるを得ない?ときがずっと後になって訪れます.暗譜で書いたのですが,当時まだT大におられた秋山先生の研究室(^^;でちゃんとしたピアノじゃなくてキーボードみたいな鍵盤の数が全然少ない電子ピアノみたいのでいきなり弾いてくれ,という言われたときです.そのとき近現代が専門でバッハのように中音域のみで暗譜で弾ける曲がなくとても悔しい思いをしたので,何か1つバッハを練習しておこうと思ったのです.そしてその時選んだのが,当然のようにイギリス組曲第4番のプレリュードでした.パルティータやトッカータは,もうこの時期のものは音域が広がっていて「キーボード」で弾くには鍵盤が足りない可能性がある,ということもありました.

 ただ練習はしたものの幸か不幸かその後そういう機会はないので,実はほとんど人前で弾いたことはありません.2年前の筑波大バドミントン部の新歓のときも当然全然練習してなかったし(だって,筑波山の山の中にまさかキーボードが持ち込まれているとは夢にも思いませんよね),第一暗譜していないのでそのときどうしたかは暗譜で書いた通りです.でも確か一度だけT大J研時代に災害部門で伊東に毎年夏に遊びに行っていたのですが,そのときちょっとだけ弾いたと思います.別に普通のアップライトピアノだったのでバッハでなくてもよかったのですが(^^;,そのときたまたま練習していたのでしょう.当時学生だったK宮山君が「ジャズみたいな曲ですね」と言ったのを憶えています.どう聴いてもジャズには聞こえないと思うのですが(^^;,まあそのくらいバッハっぽくなく(^^;楽しい曲ということなのでしょう.

 でも時々何年かに一度くらいの一定のサイクル?でバッハが弾きたくなるときがあるんですよねー.普段近現代ものばかりを弾いていると,弾くだけで何か心が落ち着くというかほっとするような感じがします.でもまあいざというとき?のためにちゃんと弾けるようになっておこうかなと思っています(^^;.

 ということで「紹介」としては,バッハのクラヴィア曲でグレン・グールドが録音しているもの,ということになります.全集という形でもCDで出ているようです.ゴールトベルクは2度録音しています.その他の主なものには,平均律,フランス組曲,イギリス組曲,パルティータ,イタリア協奏曲,トッカータ,フランス風序曲,インヴェンションとシンフォニアなどがあります.

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5/21'06
私が好きな曲
(2)モーツァルトの場合

 バッハの次はやはりモーツァルトですかね.今年は生誕250年ということでいろんなところで取り上げられています.でもモーツァルトで何が好きかというのは難しいですねー.モーツァルトにはピアノを習ったことがある人は比較的早い時期に接することになります.まず最初に出会うのはソナチネアルバムに載っているk.v.545のピアノソナタでしょう.

 ここでk.v.というのはケッヘルが作曲年代順に整理した番号です.昔はk.v.と書いていたと思うのですが,最近はK.と書くことが多いようなのでこれ以降K.と書きます.ケッヘル番号の最後はK.626のレクイエムですから,モーツァルトの作品は626曲あることになります.似たものにバッハのBWV番号というのがありますが,これは作曲年代順ではなくジャンル別になっているので,ケッヘル番号ほどは普及していないと思います.

 さて話を戻すとモーツァルトのピアノソナタは全部で18曲あります.多作のモーツァルトにしては少ないですね(ちなみにベートーヴェンのピアノソナタは32曲,ベートーヴェンの作品番号がついたものの最後は実質Op.135の弦楽四重奏曲なので135曲中32曲がピアノソナタということになります).有名(ポピュラー)なのは,第1楽章がヴァリエーション,第3楽章がトルコ行進曲になってるK.331でしょう,私が好きなのは,K.311, 576あたりですかね.しかし,モーツァルトのピアノソナタは,例えば,ベートーヴェンに比べればその重要度は低いと思います.ピアノソナタ以外のピアノ曲もそんなに多くありません.面白い?(一般受けする?)ところでは,フランスの歌「ああ、お母さん聞いて」による12の変奏曲K.265,通称,きらきら星変奏曲があります.ロンドK.485がJR土浦駅の発車音に使われていることはどこかで紹介しました.

 シンフォニー(交響曲)は51曲ありますが,有名なのは,最後の数曲(40番,41番「ジュピター」など)ですかね.しかし,シンフォニーもそれほど重要度は高くないと言われています.アルベルト・アインシュタイン(相対性理論のアインシュタインです)によれば「モーツァルトのシンフォニーに傑作は数曲しかないが,ピアノコンチェルトで傑作でない曲は数曲しかない」ということだそうです.ちなみにアルベルト・アインシュタインの従兄弟にモーツァルト研究者が本業のアルフレート・アインシュタインというのがいますが,上記の言葉は私の記憶が間違ってなければ,物理学者のアインシュタインの方だと思います.

 確かにピアノコンチェルト(全27曲)は傑作揃いだと思いますし,とても重要な作品群です.しかし,これが好き!というものは特には...(^^;.コンチェルトでは,私は高校時代のクラブ(ブラスバンド)でクラリネットを吹いていましたので,クラリネットコンチェルトK.622にはとても憧れていましたし好きです.ちなみにクラリネットはとても新しい楽器で,モーツァルトがこの曲を書いた頃にできたものです.

 んで,私が好きな曲 モーツァルトの場合 ですが,一応,ディヴェルティメントK.136を挙げておこうと思います.わずか15歳そこそこの時の作品です.この曲は父がよく聴いていた曲で,日曜の午前中によくこの曲がかかっていました.同じ弦楽合奏系でポピュラーなのは,セレナーデK.525(いわゆるアイネ・クライネ・ナハトムジーク)ですかね.ちなみにディヴェルティメントK.136は弦楽合奏ですが,ディヴェルティメント自体の演奏形態は弦楽合奏と決まっているわけではなく,例えば管楽器が使われる場合もあります.

 モーツァルトが天才とはよく言われることで,その理由として6歳で作曲したとか幼少の頃の神童ぶりが取り上げられますが,私が彼がすごいと思うのはそんなところではなく,彼の626の曲どれを取っても一定水準に達していることです.どんな大作曲家でも初期の作品などは未熟さというか「臭み」のようなものがあるものですが,モーツァルトにはそれがほとんど感じられません.作曲には希有な才能が必要と書きましたが,その最先端にいるのがモーツァルトというのが私の印象です.このディヴェルティメントK.136もとても15歳そこそこの少年が書いたものとはとても信じられません.ものすごいセンスを感じます.

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 1週間前にとにかく体調が悪いと書きましたが,症状は一向に改善しません.というか悪くなってる?仕事も溜まる一方です.かなりしんどくなってきました.

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5/23'06

 少し回復してきました.でも1,2日良くなったかなと思ってもすぐに逆戻りするので気をつけようと思います.要はあんまり無理するなってことだと思いますけど.

 シュレディンガーの猫実験ですが,どーも論理立てて全面否定するのは難しいので(できそうな気はするのですが),とりあえず「全て150億年前に決まっているか?」の主旨である,その人の人生が決まっているか,ということに限定したいと思います.つまり,たかだか80年の1人(+わずかな周辺領域)の人間の人生が不確定になるほど「ミクロからマクロへの染み出し」があるのか,ということです.でもこれこそ定量的な分析は難しいでしょうね.しかし超ひも理論を解くことより,1人の人間の人生は左右するでしょう.

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私が好きな曲
(3)ベートーヴェンの場合(その1)

 ベートーヴェンは,簡単に書くことは難しそうです(が一応書いてみます).主な作品は,シンフォニー(交響曲)が9曲(この9という数字に後世の大作曲家はみんな縛られることになります),ピアノソナタが32曲,ピアノコンチェルト(協奏曲)が5曲,ヴァイオンリンコンチェルト,弦楽四重奏曲が16曲(+大フーガ),ピアノとヴァイオリンのためのソナタ(いわゆるヴァイオリンソナタですが,ヴァイオンリンソナタは,ヴァイオンリンソナタではなくピアノとヴァイオリンのためのソナタです)が10曲などですが,どれも最重要です.

 シンフォニーは3番(英雄),5番(運命),6番(田園),9番(合唱つき)が有名ですね.ただし,この中で「運命」は,正式なサブタイトルではありません(そういう意味では9番も).5番はあまりに有名なのですが,なんだかんだ言っても私は最もベートーヴェンらしく完成度も異常に高い5番が好きです.モノラルのフルトヴェングラーのLPの演奏を聴いて鳥肌が立ったのを今でも憶えています.でもまああまりに耳たこ(^^;なので,7番の方が実は好きだったりします(^^;.ベートーヴェンのシンフォニーで何が一番好きか?と聴かれて,ある程度造詣が深い?人は7番と答えることになってるようなみょーな風習?があります(^^;.

 ベートーヴェンのシンフォニーはリストによるピアノ独奏版も有名です.5番はこれもグールドによる演奏が有名です.カツァリスは何と全集を出しています.私も5番と7番はそのうち弾きたいと思っています.

 ピアノソナタ32曲は,とても一言では語り尽くせません.しかし「私が好きな曲」は,はっきりしています.23番,いわゆる「Appassionata(熱情)」と呼ばれるものです.近現代ものなどマイナー好き(ベストセラー嫌い?)の私?にしては珍しいですね(^^;.でもいいものはいいです.この曲は私にとって古今東西のあらゆる曲の中でストラヴィンスキーの春の祭典とともに別格です.高校時代にはこの曲を何度も弾いていたと思います.曲としてのあまりの完成度の高さに「気味が悪い」と言っていた人もいたほどです.こんなものがこの世に存在するということ,それが1人の人間によって作られたということはほんとに奇跡だと思います.

 23番の他には,21番(ワルトシュタイン),ちょっとマイナーなところでは4番も好きです.部分的には,7番の第1楽章,17番の第1楽章,18番の第2楽章,28番の第2楽章,32番の第1楽章も好きです.でもピアノソナタを一部の楽章を抜粋して演奏することはできればしたくないので(できれば全曲弾きたいので),そうすると好きなものとなるとやはり23番になります.でもいわゆる古典ものを人前で弾くのは勇気要りますねー.私が普段弾いているところは音大の先生や卒業生も沢山いますから.ちゃんと勉強してくださいって言われそう(私は勉強嫌いですから(^^;).まあ23番はとにかくメジャーなので,人前で弾くことになるとすればおそらく4番ですねー.

 この他に有名なものは,8番「悲愴」,14番「月光」,17番「テンペスト」,26番「告別」,29番「ハンマークラヴィア」ですかね.名前はついているものはちゃんと調べてはいないですが,通称であって正式名称でないものが多いです.他に名前で呼ばれるものには,15番「田園」があります.8,14,23番を3大ソナタ,これに17,21,26番を合わせて6大ソナタとか呼ばれているようですが,まあそんなことはどうでもいいですよね.こういう呼び方をしてしまうと3曲,あるいは6曲だけ聴いてベートーヴェンのピアノソナタは全部聴いた気になってしまうのはとても勿体ないです.

 8番は私が中学生1,2年の頃のレパートリー(^^;で,ピアノを弾けと言われるとだいたい第1楽章を弾いてました.第2楽章は,ビリー・ジョエルが使ってますよね.第3楽章もとてもポピュラーです.でも一番ポピュラーなのは14番でしょーねー.第1楽章は技術的には平易なので,ピアノをかじっている人がよく弾いてます.でもこの曲は1〜3楽章と続けて演奏されるものなので,第1楽章だけ弾いてはだめですよ(^^;.

 ハンマークラヴィアを除いては名前はついてませんが,後期の28〜32番の5曲はとても重要です.この中で私が一番好きなのは32番ですが,それ以外の曲もどれも好きです.でもいずれもとても奥が深くて「まだ手に負えない」感はありますね.ハンマークラヴィアは大曲かつ超難曲で,まるで1人の偉大な人間(ベートーヴェン自身?)の人生のようです.これら5曲はどれもベートーヴェン晩年独特な不思議な瞑想の世界で,あんまり聴き(弾き)過ぎて人生の空しさを感じないように注意しましょう(^^;.将来誕生するいろんなタイプの音楽を暗示するような箇所もいくつもあります.

 ベートーヴェンのピアノソナタは,ルービンシュタインのショパンのように中学時代に,いやまだ小学生だったか,毎月の小遣いでこつこつとケンプの全集を1枚ずつ集めていきました.この世にこんな曲があるのかと発見の連続でした.ケンプの生の演奏にも1度だけ接することができました.私がまだ中学生だったと思いますが,黒川紀章さんが設計された福岡銀行本店のホールのこけら落としにケンプが来るということで父が切符を取ってくれました.ほんとに夢にまで見たケンプの生の演奏が聴ける,という感じでしたが,実際はLPをあまりに聴き込みすぎていて(^^;,また,ケンプの演奏があまりにもLPの演奏そのまんまだったので(それはそれですごいことですが),ちょっとがっかりしたのを憶えています.

 この頃,中学時代のベートーヴェンのピアノソナタ群,あるいは,次々と「開拓」されるピアノ曲群は,私の心の支えのようなものでしたねー.どこかで書きましたが「音楽があれば生きていける」と思いました.今はどうしてそう思えないんですかねー(T_T).当時はポリーニやアルゲリッチが世に出たばかりでピアノ界もとても活気に溢れていました.最近はどうなんでしょうか?(実はよく知らない(^^;)

 さて,ベートーヴェンのピアノソナタですが,やはりケンプの演奏がお勧めと言いたいところですが,うーん,どうでしょうかね.まあ1つの標準とは言われていますが.当時は,グルダのものが「お勧め版」として有名でした(ややスピード違反(^^;気味ですが).ブレンデルはまだ「シューベルト弾き」という感じで,その後,ベートーヴェンのピアノソナタ全集を出して(確か少しずつ発表して行った)その後,一気にメジャーになったと思います.

 超一流のピアニストの演奏会でも感動したと言えるものは数えるほどしかないとどこかで書きましたが,その1つがブレンデルです.1995年にバークレーにいるときサンフランシスコで妻と聴きました.最後の演奏が終わったとき2人とも立ち上がってちょっと笑えました(^^;.いや,私は感動して茫然と座っていて妻が立ち上がってブラボーとか言ってて(^^;私も慌てて(^^;立ち上がってスタンディングオベーションだったかな.

 確かOp.10の1と2(5番と6番)が入ってたと思いますが,ブレンデルがそこでベートーヴェンの音楽を「作って」いるような感覚がありました.演奏,しかも,ベートーヴェンのピアノソナタで私も何度も聴いてる曲ですが,聴きながら次はこうなるんじゃないか,こうあるべきじゃないか,と思って,それに答えてブレンデルが弾いて(音楽を作っていく)ようなとても不思議な感覚でした.

 グルダもブレンデルも全集は当然今でもあると思います.しかもおそらく格安です.その他は誰ですかね.古いところではバックハウスもありますね.ちょっと検索かけてみますね.あー,そうそうシュナーベルもありますね.古すぎ(^^;?.でも...1511円です(-_-;...10CDですよ!ちょっといくらなんでも...ここまで安いと価値が低いみたいで逆に悲しい.でも買おかな(^^;.ブレンデル,グルダは10000円くらいしますね(それでも1枚あたり1000円以下).あれ?こんなもんですかね?ケンプも出てこない.

 ググると,お,横山幸雄さん全集出してるんですねー.頑張ってますねー.あとは,アシュケナージ,アラウ,フィッシャー(これも古い),コワセヴィッチくらいですか.意外と少ないですねー(まあ32曲全部ですから大変ですけど).邦人なら園田高弘先生のがありますね.とすると,お勧めは結局やはりグルダ,ブレンデルあたりですかね.シュナーベルの1511円というのもとても魅力的ですけど(^^;.

 でもどうなんでしょうか?今はこんなに廉価で全集が手に入って,なんか私が小中学生の時,毎月1枚ずつ,次はどれにしようかなとわくわくしながら買っていったときより恵まれてるとは思いますけど,明らかに小中学生の時の私の方が「幸せ」でしたね.実際,そうやって1枚1枚集めたケンプはそれこそ擦り切れるほど聴きましたけど,後でがばっと買ったグルダは数回聴いただけだと思います.やはり恵まれてない方が幸せってことですかね.

(やはりまだまだつづく(^^;)

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5/25'06
私が好きな曲
(3)ベートーヴェンの場合(その2)

 予想通り?ベートーヴェンのピアノソナタについて書き出したら止まらなくなってしまいましたね(^^;.その2にしちゃいました.まだまだいろいろ書いておきたいことはあるのですが,こんな感じだととても最後まで(近現代まで)もちそうもないので,次(ピアノソナタ以外)に行きます.

 と言ってもそれ以外はそんなに書くことないですかね(^^;.もちろんシンフォニー,ピアノソナタ以外の曲が重要ではないというわけではありません.ただ,私が音楽を聴くのは自分が弾く曲探しが主目的であって音楽鑑賞という趣味はないので,どうしてもピアノ曲中心になってしまいます.それに「私が好きな曲」という意味ではAppassionataが圧倒的なので...Appassionataは生でも何度か聴いたことがあります.有名どころではポリーニくらいですかね.当時つき合っていた人といっしょに行くつもりだったのが直前に別れてしまって(T_T),切符が勿体ないので急遽妹といっしょに行ったのを憶えています.多分...(茫然としていたので実はよく憶えていない).

 ピアノコンチェルトは5曲あります.5番が「皇帝」と言われていて有名です.4番も評価が高いです.3番もよく弾かれますが,1,2番はあんまり印象がないです(^^;.ヴァイオリンコンチェルトは1曲しかありませんが,とても重要とされています.また三大話(^^;ですが,メンデルスゾーン,チャイコフスキー,あるいは,ブラームスで三大ヴァイオリンコンチェルトとか巷では言われているようです.まあこれもそんなことはどうでもいいことですが,これもどこかで書きましたが,ヴァイオリンコンチェルトはヴァイオリニストにとってとても重要な楽曲なので,ベートーヴェンのコンチェルトもしかりということです.

 ピアノとヴァイオリンのためのソナタ(いわゆるヴァイオリンソナタ)は,全部で10曲あり,ヴァイオリニストにとってコンチェルトに比べれば比重が小さいともどこかで書きましたが,ベートーヴェンのピアノとヴァイオリンのためのソナタには重要な曲が含まれています.重要なのは9番のいわゆる「クロイツェル」でしょう.この曲に対してベートーヴェン自身もはっきり「ヴァイオリンの伴奏がついたピアノソナタ」とコメントしています.5番も「スプリング(春)」と呼ばれていてとても綺麗な曲です.室内楽で重要なのはやはり弦楽四重奏曲でしょう.全部で16曲あります.

 とか書いていたらとてもじゃないことに気がつきました(^^;.まあここでは「私の好きな曲」を紹介しがてら,クラシック音楽入門?の続きということなので,あんまり範囲を広げるのはやめることにします.上でも書いているように私が音楽を聴くのは自分が弾く曲探しが主目的であって音楽鑑賞という趣味はないし,ピアノ以外は全部聴いているわけではないので(もちろん一通りは聴いていると思いますが)あんまりいい加減なことは言えないな,ということにも気づきました(^^;.聴いたのも中高時代がほとんどなので(最近はほんとに自分が弾く曲探し以外にはほとんど音楽を聴かなくなった)そのときの記憶ということになりますし...自分の演奏が目的なのでコンチェルトも実際に演奏する機会はとても限られるでしょうからあまり気合いも入らず(^^;,どうしてもソロが主体になります.

 ですから,クラシック音楽入門?の当初の目的通り?ピアノソロを中心に話をしたいと思います.ただ,ピアノソロ以外に「私が好きな曲」がある作曲家も沢山いますので,そういう場合は,ピアノソロ以外にも言及,というか,まあそんなルールは別に作らずに(^^;とりあえず,だいたい年代順にだーーっと現代まで駆け抜けようと思います.

 んで,ピアノソロに戻ると,ベートーヴェンの場合はやはり32曲のピアノソナタの存在感が圧倒的ですが,これ以外にもピアノ曲はかなりあります.次に多いのはヴァリエーション(変奏曲)ですかね.Op.35の「エロイカ変奏曲」,Op.120の「ディアベリ変奏曲」が有名ですが,私は作品番号なしのハ短調のヴァリエーションが好きです.でも「ディアベリ変奏曲」は最後のピアノソナタ(32番, Op.111)より後のものなのでベートーヴェンの最後の本格的なピアノ曲となるのでとても重要ですし,私も好きです.ものすごく長大な曲です(おそらく長さはハンマークラヴィア以上?).

 そうそう.演奏時間で思い出しましたが,現在のCD(だいたい74分)ってどうやって決まったか知ってます?まあ最近は蘊蓄,トリビアブームなので知ってる人も多いでしょうがベートーヴェンの9番のシンフォニーが1枚に入るように,ということらしいです.でも誰の演奏ですかね?カラヤンという説があるようですが,彼の演奏はどれもスピード違反(^^;で(ベートーヴェンの他のシンフォニーも),9番も確か1時間そこそこだったと思います.私のもってるLPはなんと1枚に収まっています.

 なんかこんな感じじゃいつまで経っても「ベートーヴェン」が終わらないので(^^;,ここら辺にしておきます(また機会があったら書きます).でもまあベートーヴェンのピアノ曲で一番ポピュラーなものは「エリーゼのために」や「トルコ行進曲」でしょうが,そんなものでベートーヴェンを語ることができないのはおわかりいただけたのではないかと思います.でも,実はケンプが「エリーゼのために」を弾いた録音があります(^^;.

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 生きていく楽しみって何ですかね?まあいろいろあるとは思いますが,私は一番の楽しみは結局「食べること」だと思っています.別に「グルメ」とかそういうことではなくて,毎日の何でもない?普通の食事をおいしいと思って食べることです.健康のために食べたいものを我慢して長生きしてもつまらないでしょうし,それでは何のために生きているのかわかりません.もちろん暴飲暴食は問題外で,そういうことをしてしまうのはストレスなど何か他に原因があるわけですから,そっちを何とかすべきでしょう.

 私は今までいろんなことがありましたが,食欲がなくなる,眠れなくなるという経験はほとんどしたことがありません.そこだけは「やられずに済んだ」ので何とか生きてこられたという感じです.実際,鬱病になると睡眠欲,食欲,性欲と言った根本的な欲が失われます.私は無気力でとても辛い30代を過ごしてしまいましたが(無気力という意味では今も変わらない?),この3つだけは残っていたので,何とか今生きているのでしょう.

 そんなことない,食べること以外にも楽しみはいっぱいあります,という人は幸せな人でしょう.寝食を忘れて没頭するという言葉がありますが,それほど没頭できることがあればそれだけで幸せなことです.私はこれまでいろんなことに没頭してきました.仕事や仕事以外にやってることはそれらのごく一部が「核」として残ったようなものかもしれません.でも寝食を忘れてというところまでのことはありませんでした.学生時代は論文提出前に何度も徹夜をしましたが,その合間に食べる夜食?はとても楽しみでした.そしてそれは今でもそうです.

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5/26'06
私が好きな曲
(4)シューベルトの場合

 シューベルトはどうしようかと思ったのですが,一応軽く書いておきます.時代的には古典派とロマン派の中間に位置しますが,(多分)ロマン派に入れられることが多いと思います.彼で真っ先に思い浮かぶのは大作曲家の中では最も早く(31歳)に亡くなっているということです(メンデルスゾーンは28で亡くなってるが).しかもものすごい多作(1000近い)です.作曲を始めたのも10代半ばと言われていますから,その生産能力はものすごいですね.ちなみに私が31のときと言えばやっと研究者として一人前(半人前?)になったばかりというくらいですからねー(T_T).

 彼の作品はいわゆる作品番号(Opus)がついているものもありますが,それらはごくごく一部に過ぎず,通常ドイチュによって整理されたいわゆる「ドイチュ番号」(D〜と書く)が用いられます.このD番号が1000近くまであるのです.数から言えばモーツァルト以上ですね.

 シンフォニーですが,全部で何曲あるのかよくわかりません(^^;(多分10曲くらい).後から発見されたりして番号付けも混乱しているようです.有名なのは「未完成」と呼ばれるものと,「ザ・グレート」と呼ばれるものですかね.

 ピアノ曲も多く,ピアノソナタも21曲あります.最後の3つ(19〜21番,D958〜D960)はその「天国的(^^;」長さ(この言い方は17番(D850, Op.53)の第2楽章に対してシューマンがそう言ったというのが始まりのようです)とともに代表作ということになっています.その他だと,13番(Op.120, D664),18番(Op.78, D894)「幻想」ですかね.一応一通りは聴いてると思うのですが,あんまり憶えていません(^^;.ピアノソナタ以外では,いわゆる「さすらい人幻想曲」(Op.15, D760),Op.90とOp.142のアンプロンプチュ,モーメントミュージカル(Op.94)が有名です.「さすらい人幻想曲」は私も昔よく弾いていました.でもこれも長いです(^^;.演奏はやはりブレンデルのものが有名です.

 これ以外にも室内楽や歌曲など沢山あります(全部で1000近くあるわけですから).でもまあシューベルトは「歌曲の王」と呼ばれているように歌曲に優れた作品が多いとされています.「美しき水車小屋の娘」D795, Op.25,「冬の旅」D911, Op.89,「白鳥の歌」D957,965Aが三大歌曲とされているようです.この中では私は父がフィッシャー・ディースカウのレコードをよく聴いていたので「冬の旅」を一番よく聴いたと思います.ポピュラーどころでは「野ばら」とか「魔王」とか「アヴェ・マリア」とかがありますね.ポピュラーなものには「鱒」と呼ばれるピアノ五重奏曲やピアノ連弾の「軍隊行進曲」などがあります.

 さて,私の好きな曲ですが,特にない(^^;んですが(もちろん,好きという曲はいくらでもあるのですが特に好きな曲はという意味です),過去に弾いた曲を見ると「幻想」の第1楽章を弾いてますね(^^;.この曲は初めて聴いたのは中学か高校くらいのFMで聴いたブレンデルの演奏だったと思いますが,その時は何とも思いませんでした.ていうか退屈な曲だなーと思ったと思います.でもそれから20年くらいしてなぜかこの曲が気になって,まあ技術的にはそんなに練習せずにもすぐ弾けるということもありましたけど,どうにも弾きたくなってしまって弾きました.別に「好きだから」というわけではないのですが.ここでは,「シューベルトの「幻想」は,どういうわけか気分が落ち込んでくると弾きたくなってしまいます.第1楽章の第1主題が「ため息」に聞こえるのは私だけでしょうか?」とコメントしてますね.

 そういう意味では,「好きな曲」と「弾きたい曲」はちょっと違うような気がします.過去に弾いた曲を見ても,まあ好きな曲が多いですが,そうでもない(^^;曲もありますし,これ以外に好きな曲もいっぱいあります.それに好きな曲自体変化するものです.春祭も中学くらいに初めて聴いたときは「なんじゃこりゃ?」と思いましたもん.

 人前で弾いたことはないですが,リストが編曲した「魔王」はレパートリーの1つです.この曲は右手のオクターブの連打で有名で,体力自慢?の私にとって打ってつけの曲でした(^^;.伴奏が大変なので有名ですが,リストが編曲したピアノソロは「歌」の部分も弾かないといけません.最近弾いてないけど弾けるかな?似たような?状況?の曲にリストのハンガリアンラプソディーの6番がありますね.これも一通り練習したことがありますが,体力的?にはこっちの方が時々休憩できるんで(^^;楽でした.

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私が好きな曲
(5)ショパンの場合

 ショパンはポピュラーなショパンのピアノ曲で書いたのでこれもさらっと流しましょうかね.というのは,ショパンの曲のほとんどはピアノ曲だからです.ピアノ曲以外はここに一覧がありますが,数えるくらいしかありません.ということで曲の紹介は,ばっさり省略です(ポピュラーなショパンのピアノ曲をご覧ください).

 それで私が好きな曲ですが,ショパンはまあどれもそこそこ好きですが,弾きたいと思うほど好きな曲は結構少ないです.ここを見るとスケルツォの1番を弾いていますが特に好きというわけではありません(^^;.まあショパンを何か弾いておこうと思ってそんなにメジャーじゃなくて割と私に合っててちょっと弾いてみたいな,という感じで弾いたんだと思います.そんな感じで弾く曲を衝動的に選ぶことって結構あるんですよね.

 ショパンにはいろんな種類の曲がありますが,一番よく弾くのはエチュードです.エチュードとして弾きます.単なる練習曲でないエチュードを書いてくれたショパンに感謝しています.で,本題の私の好きな曲ですが,曲の種類?で言うとポロネーズです.生前に出版されたものは7曲ありますが,どれも好きですね.いや4番はあんまり好きじゃないか(^^;.その中でも一番好きなのは5番です.この曲は難曲とされていますが,私は割と弾きやすいです.6番(英雄ポロネーズ)も好きですが,5番の方が弾きやすいし好きです.でも中間部のマズルカから戻るところでユニゾンでアルペジオが駆け上がるところがあるのですが,あそこがポリーニみたいに弾けない(T_T).まあ当たり前ですが(^^;,あまりにポリーニが鮮やかに弾いているので,あれを聴いちゃうとなかなか人前で弾く気にはなれないですね.でもそのうち弾こうと思っています.

 あとは,好きというわけではないですがOp.28のプレリュードはいろいろ実験的というか大胆な書きっぷりでおもしろいです.何曲か弾きました.エチュードもそうですが,やっぱりショパンは短い曲があってるような気もします.

 うーん,でもこんな感じだと肝心?の近現代になかなか到達しそうにありませんね.ていうかモチベーションがそこに行く前に下がってしまいそうです(^^;.ロマン派は,あとはどうしてもはずせないシューマン,リスト,ブラームスくらいにしときますかね.既にはずしてしまった(^^;メンデルスゾーンは,バークレーにいたときちょっとマイナーな普通(^^;の曲を探してみようかなと思って,ピアノ曲の全集のCDを買って聴いてみたのですが,これと言ったものはなかった(私が好きか,弾きたいか,という観点からです)と思います.

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5/27'06
私が好きな曲
(6)シューマンの場合

 シューマンは,ショパンと同じ1810年生まれです.でもショパンは3月(2月という説もあるようだが),シューマンは6月生まれなので,日本で言えば(日本で言っても意味ないですが(^^;)学年は1つ違いですね.シューマンもショパン同様,最初の頃はピアノ曲だけを書いていました.実際,シューマンの作品番号が付いている148曲のうち,Op.1から23までは全てピアノ曲で,代表的なものもほとんどこの中に含まれています.

 ポピュラーなものは子供の情景Op.15の中の1曲である「トロイメライ」ですかね.そうそう,シューマンのピアノ曲にはほとんど「表題」がついています.あとポピュラーなものは何ですかね?そんなもん?ということは一般に有名なメロディーはほとんどないってことですかね.よく弾かれるのは,謝肉祭(カルナバル)Op.9,交響的練習曲Op.13,子供の情景Op.15,クライスレリアーナOp.16,幻想曲(ファンタジー)Op.17でしょうか.Op.12の幻想小曲集は,ピアノのレッスンでよく取り上げられるので弾いた人もいるかもしれません.夢のもつれ(別名,指のもつれ(^^;)とか.Op.7のトッカータも難曲として有名ですね.あとは,Op.2のパピオン(蝶々)くらいでしょうか.

 Op.54のピアノコンチェルトもよく弾かれます.この曲はぱっと見の譜面面はそうでもないんですが,実際に弾くととてーも弾きにくいそうです.シューマンの曲にはよくあるんですが,なんか展開がぐるぐるしていて今どこにいるのか一瞬わからなくなるようなところがあります.下で出てくるピアノソナタ第3番の第4楽章もそうです.

 さて,私の好きな曲ですが,ピアノソナタ第3番,Op.14の第4楽章です(またピアノソナタの1つの楽章ですみません(^^;).ホロヴィッツがRCAに移籍したときの第1段の録音(この曲とスクリアビンのピアノソナタ第5番)の演奏にはまりました.同じシューマンのクライスレリアーナOp.16もホロヴィッツの録音はとても印象的です.そうそう印象的と言えば,ミケランジェリがカルナバルの全ての繰り返しを忠実に行った録音(おそらく40分近くかかっていた)というのものも中学のときに音楽の先生で担任だったN村先生にレコードを借りて聴いて感動しました.クライスレリアーナの第1曲は,右手の薬指の訓練になるのでハノン代わりに時々弾いています(贅沢な使い方(^^;).交響的練習曲Op.13の中のいくつかも好きです(でもあのフィナーレはいただけない...(^^;).あとは,Op.26のウィーンの謝肉祭騒ぎの中にもいくつか弾いてみた曲があります.

 好きな曲というわけではないのですが,Op.17のファンタジーは古今東西のいろんな曲の中でどういうわけか人生の空しさを一番感じる曲です.第1楽章が情熱的には私にはどうしても聞こえません.なんかとても冷たさを感じてしまいます.最初に聴いた演奏がポリーニだったから?第2楽章も元気のいい行進曲なのですが,空元気みたいな空虚さを感じます.

 ピアノ曲以外は,シンフォニーくらいは高校のときに一通り聴いたと思いますが,ほとんど聴いてません(^^;.まあバッハ同様,その気になったときの人生の楽しみ?としてとっておこうと思います.

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5/28'06
私が好きな曲
(7)リストの場合

 リストは,ロマン派の中では私が一番弾くことが多い作曲家です.1811年生まれですからショパンやシューマンより1つ下です.技術的には一番難しいと言われていますが,私に合っているのか,私にとっては一番弾きやすいです.私が弾きにくいと感じるのはショパンですねー.あと古典ではバッハがやっぱ弾きにくい...

 リストは,大作曲家であると同時に大ピアニストでもありました.彼の書いた曲が難曲揃いとなっているのはそういうことも理由の1つです.リストも非常に多作な作曲家ですが(1000曲を越えると言われている),作品番号は一切ついていません.サール番号(S.)やラーベ番号(R.)というのもありますが,ほとんど普及していません.

 さて何から行きましょうか.順番から行けばピアノソナタですかね.1曲だけですので第何番はつかず,単に「ピアノソナタ」と呼ばれます.でも普通のピアノソナタとは大分違います.演奏時間は30分くらいかかるのに何と単一楽章です.出だしもとても印象的で主題も格好いいし(^^;,好きな曲です.でも長いー.とりとめがない,まとまりがないという批判もありますが,非常に高く評価される場合もあります.良くも悪しくもリストらしいという感じでしょうか.

 次は,超絶技巧練習曲ですかね.名前からしてすごいですよね.実際,相当超絶技巧です.でもひたすら技巧を追ったものではなく,作品としてかなり中身の濃いものだと思います.12曲からなりその多くにタイトルがついています.私はどの曲も好きです.実際原題はフランス語でEtudes d'execution transcendanteですが,transcendanteを「超絶」と訳すのはちょっと違うと思います.この曲集は版がいくつもあって,今一般弾かれるのは第3版で,最も難しかったのは第2版です.第2版があまりに難しすぎるのでレベルを落としたのが第3版と言われています.私も第2版の譜面は見たことがありますが,そりゃあすごいです(第3版でも相当なもんですが).ここを見ると第8番の「狩り」を弾いてますが,その第2版の出だしを見た瞬間に唖然としました.

 この曲集は私が中学生の時,ベルマンがセンセーショナルなデビューをしたとき彼の演奏で知った思い出深い?曲でもあります.これも中学のときの音楽の先生で担任だったN村先生がレコードを貸してくれました.そのとき彼は,これとミケランジェリのシューマンのカルナバルとポリーニのベートーヴェンの後期のピアノソナタなどを貸してくれて,返すときどれがよかった?と聴かれて,格好をつけた(^^;私はミケランジェリのカルナバルと答えたのですが,実は一番衝撃を受けたのはベルマンの超絶技巧でした.最近はいろんな人が録音していますが,当時はほとんどなかったと思います.その後,ベルマンの他にいろんな演奏を聴きましたが,アラウのはとても印象的でした.

 8番をT大ピアノの会の確か駒場祭で弾きましたが,10番や7番(エロイカ)も好きです.7番のエロイカは好きというよりは,弾きやすいので弾いとこかな,という感じですかね(^^;.4番のマゼッパや5番の鬼火や12番の雪かきはこの中でも難度が高く,超絶技巧を誇示する曲とされていますが,これらもいい曲だと思いますよ.

 上で超絶技巧を思い出深い?と書きましたが,確かに,ベルマンのレコードを聴いたとき,それから数年後に曲がりなりにも?この曲を弾くことになるとは夢にも思いませんでした.ピアノの先生についてるわけでもなく,自分で勝手に弾いてるだけですからね.高校くらいで近現代に目覚めてプロコフィエフのソナタなどの難曲を弾くようになったというのもありますが,やっぱりT大ピアノの会という場を得て「ピアノにはまった」というのはとても大きかったですね.私はこれまでいろんなものに「はまって」来ましたが,これからどういうものにどのくらい「はまる」のでしょうか?

 リストのエチュードには,超絶技巧の他にパガニーニによる大練習曲,3つの演奏会用練習曲,2つの演奏会用練習曲というのもあります.パガニーニによる大練習曲の中の第3曲ラ・カンパネッラは,ポピュラーですね.リストのピアノ曲の中でポピュラーなものは,他に愛の夢ハンガリアンラプソディーの2番,15番のラコッツィーマーチがありますね.

 ハンガリー出身であるリストにとってハンガリアンラプソディー(ハンガリー狂詩曲)は重要な曲群の1つでしょう.全部で19曲ありますが,上で書いたように2番,15番が有名です.2番はトムとジェリーで使われ,アカデミー賞を受賞しています.曲の特徴を上手く捉えてアニメ化していてほんとよくできてますよ.実は私がまだ小さい頃,トムとジェリーでハンガリアンラプソディーの2番を聴いた?のが私が初めて聴いたリストに間違いありません(^^;.15番のラコッツィーマーチはいわゆるヴィルトゥオーソ系というか超絶技巧をひけらかす系の曲としてよく使われ,ホロヴィッツ版などいろんな編曲があります.T大ピアノの会でM子さん(何かこう書くと女性の名前みたいですね(^^;.実際には男性の苗字です)が弾かれたのがとても印象的でした.私も原曲は一応(^^;練習しました.あとシューベルトのところで書いたように6番も.1曲だけですがスパニッシュラプソディー(スペイン狂詩曲)というのもあります.

 あと超絶技巧系で有名なのは,メフィストワルツでしょうね.3番くらい?まであるようですが,よく弾かれるのは1番です.メフィストワルツ1番ではなくて,単にメフィストワルツと言えばこの曲のことです.これもそれこそ超絶技巧ばりばりと言われていますが,どういうわけか私にとっては結構弾きやすくて(もちろん楽々弾けるということではなく一般の難易度からすると相対的にはということですよ),一通り練習しました.この曲も好きです.いつかちゃんと練習してレパートリーにしようと思います.

 リストというと超絶技巧の難曲ばっかしというイメージがありますが,ここまで書いた曲群とは一線を画す「しぶーい」曲群が存在します.巡礼の年第1年「スイス」,第2年「イタリア」,第2年補遺「ヴェネチアとナポリ」,第3年,詩的で宗教的な調べ,二つの伝説といった曲群です.よく弾かれるのは第2年「イタリア」の「ダンテを読んで」,第3年の「エステ荘の噴水」,二つの伝説の2曲目「波を渡るパオラの聖フランチェスコ」でしょうか.エステ荘の噴水は,ドビュッシーの水の反映やラヴェルの水の戯れに影響を与えたと言われています.結構好きな曲ですが,この手の曲は私が最も苦手とするところなので,妻に勧めました(^^;.二つの伝説の2曲目「波を渡るパオラの聖フランチェスコ」も一応練習しました.でもこの曲は上で「一線を画すしぶーい」と書きましたが,結構派手です(^^;.

 リストは晩年になると更に一線を画すとてもくらーい無調ぽい曲を書くようになります.いわゆるリストのマイナー系と言われている曲群ですね.でもくらーいし,あまり面白くないのであんまり研究していません(^^;.

 あとは編曲ものでしょうか.ベートーヴェンのシンフォニーとシューベルトの魔王は既に紹介しましたが,他にもいろいろあります.有名なのは,リゴレット・パラフレーズ,ワーグナーのタンホイザー序曲,モーツァルトのドン・ジョバンニの回想,バッハのプレリュードとフーガあたりですかね.どれもいわゆる超絶技巧系です(^^;.

 そうそう,忘れるところでした.ピアノ曲(ソロ)以外だとリストはピアノコンチェルトを2曲書いていて2つとも有名です.シンフォニー(って言えるのかな?)も2つ書いています.あと,交響詩というジャンル?を確立したとされていますが,そんなに演奏されることはないですし,交響詩って他に書いてる人もそんなにいませんよね.

 なんか私が好きな曲〜リストの場合という感じじゃなくなったのですが,好きでそのうち弾いてみたいと思ってる曲,あるいは弾いてみた曲という感じで並べると,超絶技巧練習曲の第8番,第10番,ハンガリアンラプソディーの6番と15番(できれば原曲じゃないやつ),メフィストワルツ,エステ荘の噴水,二つの伝説の第2曲「波を渡るパオラの聖フランチェスコ」という感じですかね.こうやって並べるとやっぱどれも大変な難曲ばっかしですね(^^;.

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5/29'06
私が好きな曲
(8)ブラームスの場合

 ブラームスは1833年生まれですから,ショパン,シューマン,リストより20くらい年下です.ピアノ曲はそんなに多くありません(全集でもCD4,5枚程度).シンフォニーも4曲だけです.でも作品番号は100を越えていて,まあそんなに多くはないですが少なくもありません.室内楽も結構ありますが,じゃあ他に何を書いたのかなと思ってちょっと調べてみたことがあるんですけど,歌曲や合唱曲が結構多いんですよねー.意外ですよね.

 さて,ブラームスの4つのシンフォニー(交響曲)はとても重要です.逸話的には1番を書くのに何十年もかかったのに,2番はあっという間に書いてしまったというのが有名?ですかね.私が一番好きなのは4番ですが,どれも好きです.ベームの全集は何回も聴きました.

 交響曲でないオケのための曲ということで「管弦楽曲」というジャンル?があるのですが,このジャンル?に属するブラームスの「大学祝典序曲」というのが,大学受験の某ラジオ講座で使われていて,聴いたことがある人もいらっしゃるかもしれません.でもなんか選曲が安易ですよねー(^^;.私はハイドンの主題による変奏曲というのが好きです.

 コンチェルトはピアノが2曲,ヴァイオリンが1曲とヴァイオリンとチェロのダブルコンチェルトというのがあります.ベートーヴェンのところで書き忘れましたが,ベートーヴェンにはトリプルコンチェルトというのもあります.ヴァイオリンコンチェルトは古今東西三大ヴァイオリンコンチェルトに数えられることもあって評価が高いようです.ピアノコンチェルトもどちらも重要です.私は2番のピアノコンチェルトが大好きです.好きなピアノコンチェルトを3つ挙げろと言われたら,ブラームスの2番とプロコフィエフの3番とバルトークの2番です(3つのうち2つが近現代(^^;).室内楽も結構多いしよく演奏されますが,私は一部しか聴いていないので省略します(^^;.

 さて,ピアノ曲ですが上で書いたように数はそんなに多くありません.ポピュラーなものから行くと「お連弾」の定番,ハンガリー舞曲集でしょう.一番ポピュラーなのは5番でしょうが,1番,2番,6番もよく弾かれます.同じ連弾のワルツ集, Op.39の15番もポピュラーですかね.

 ピアノソナタは3曲ありますが,どれも初期のものでブラームスのピアノ曲の中ではそんなにメジャーではありません.一番弾かれるのは3番でしょうが,私は2番が一番好き(まだかなり臭みはありますが(^^;)です.よく弾かれるのはOp.79の2つのラプソディーでしょう.私も結構好きです.しかしブラームスのピアノ曲を代表するのは,やはり,ヘンデルヴァリエーション(ヘンデルの主題による変奏曲, Op.24)パガニーニヴァリエーション(パガニーニの主題による変奏曲, Op.35)の2つでしょう.特にパガニーニヴァリエーションは難曲としても知られています.

 よく古今東西のピアノ曲の中で一番難しい曲は何か?ということが話題になるのですが,パガニーニヴァリエーションは必ず名前が挙がります.あとは,何ですかね?リストは確かに難曲揃いですが,例えば,超絶技巧練習曲なんかは,「古今東西で一番」難しいという観点からは名前が挙がることはないですね.パガニーニヴァリエーションはそのくらい超難曲ということです.ブラームスもピアニストとして有名でしたからね.難曲揃いの作曲家としてはリストと同様,ラヴェルの名前はよく挙がります.その中で一番難しいとされるのは夜のガスパールのスカルボですかね.あとは,名前がよく挙がるのはバラキレフのイスラメイですね.そうそう,アルカンも忘れてはいけませんね.

 難曲という点では近現代にとんでもない曲はいっぱいあります.ポリーニが弾いて一世を風靡したブーレーズの第2ソナタとか,クセナキスのヘルマなんかもとんでもないですよね.でもやっぱりそういう意味から言ってほんとにとんでもない(^^;のは,フィニッシーやソラブジでしょう.難曲というよりは複雑怪奇と言った方がいいかもしれません.

 ブラームスに戻りましょう.他の主なピアノ曲は4つのバラード, Op.10,8つのピアノ小品, Op.76,そして,Op.116〜119の作品集群でしょう.ヘンデル,パガニーニ以外にもいくつかヴァリエーションがあります.4つのバラードの1番と2番は練習しました.Op.116〜119の作品集群は,後期のとてもしぶい(^^;曲揃いです.私が好きなのはOp.118のピアノ小曲集の第2曲と第3曲です.これは,とある日本人ピアニストの演奏会で彼女がアンコールとして弾いた演奏が忘れられません.名演でした.確かに世界を見渡せば超一流と呼ばれるピアニストはいますが,日本の片隅(と言うと語弊はあるが)に優れたピアニストはいくらでもいるし,名演と言えるものもいくらでもあるんだな,というのを実感しました.

 まあこんなとこですかね.ここで「よく好きな作曲家は誰ですか?ときかれるのですが,返答に困ってしまいます.この作曲家のものならだいたい好きというわけではありませんし,」と書きました.作曲家には確かに「作風」というものがあって(中にはストラヴィンスキーのようにそういうものがほとんどない人もいますが),好きな作曲家は誰ですか?というのはそういう質問だと解釈すると,私はブラームスは好きです.あとは,近現代の中で敢えて挙げるとすればプロコフィエフですかね.

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5/30'06
私が好きな曲
(10)補遺(古典派の場合)

 気づいたら(^^;もう10回目ですね.なんか自分のこれからのレパートリーを整理する意味でなんとなく書き始めたんですけど,とても整理されてます(^^;.あーそう言えば,こんな曲もあったなとか言う感じで久しぶりにいろいろ弾いてみたりもしています.一通り開拓し終わるとなんかもうこんなもんかなとか思ってしまいがちですが,こうやって改めて見直してみるとほんと人類の宝物が目白押しという感じですよね.

 ようやくブラームスまで来たので,次はちょっと飛ぶけどドビュッシーとも思ったのですが,「誰々の場合」という感じで書いているので割愛した作曲家もたくさんいます.それで思いつく範囲で補遺(というのも失礼な話だが)をしておこうと思います.

 古典派と呼ばれるものでは,バッハ,モーツァルト,ベートーヴェンを取り上げましたが,他にもいっぱいいます.生年順に並べると以下のような感じです.

ヘンデル(1685-1759)
J.S.バッハ(1685-1750)
D.スカルラッティ(1685-1757)
C.P.E.バッハ(1714-1788)
ハイドン(1732-1809)
モーツァルト(1756-1791)
ベートーヴェン(1770-1827)

 バッハとヘンデルが同い年というのは認識していましたが,スカルラッティもそうなんですね(^^;.ヘンデルは一応挙げましたが,目立った鍵盤楽器の曲はありません(特に知りません(^^;).スカルラッティはもちろんドミニコ(息子)の方です.555曲にもおよぶチェンバロソナタを書いています.ただし,どれも単一楽章の短いものです.よく取り上げられ,ホロヴィッツの演奏もあるほどです.L番号,K番号というのがあります.一度一通りちゃんと聴いてみようと思っているのですが,なんせ数が膨大なんで...(^^;.

 C.P.E.バッハは,J.S.バッハ(大バッハ)の第二子です.「バッハの息子達」は他にもたくさんいますが,その中ではC.P.E.が最も評価されていると思います.ちなみにP.D.Q.バッハというのは違いますよ(^^;(^^;.バロック系でJ.S.はあまりにメジャーだからちょっとマイナーな奴でなんかいいのない?と妻にきいたらC.P.E.にいいの結構あるよと紹介してくれました.DOVERから出ているものは一通り弾いてみました.いい曲もいくつかありました.そのうちこれも一通り見直してみようと思います.

 あとはハイドンですね.ハイドンには104曲(+α)ものシンフォニー,68曲もの弦楽四重奏曲,52曲ものピアノソナタなどがあります.番号はHob.(ホーボーケン番号)で整理されています.ポピュラーなのは,シンフォニー94番(「驚愕」)の第2楽章ですかね.確か,ソナチネアルバムにそのピアノ版が載ってたと思います(ドドミミソソミ).ピアノソナタは最後の数曲はよく弾かれます.ピアノソナタ以外にもいくつかピアノ曲があります.ヘンレからピアノ曲集という形で出ていて,その中ではC-durのファンタジアが一番好きでちょっと練習しました.

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